医学会誌 第41巻 補遺号
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26基-29:筋幹細胞による筋線維型自律制御機構の解明と筋疾患への応用研究代表者:濃野 勉(分子生物学1)【背景】我々は、筋幹細胞が分化・融合して新生筋線維(筋管)を形成する過程で、多機能性細胞制御因子semaphorin 3A(Sema3A)が合成されることを突き止めた。その発現パターンは、遅筋の筋幹細胞において速筋よりも高いことがわかった。本研究では、筋幹細胞由来のSema3Aが筋管の筋線維型制御に関わる可能性を考えて検証している。【方法】マウス筋芽細胞を用いてRNAi法によるSema3Aノックダウン実験と、Cre-loxPシステムを利用して筋幹細胞特異的にSema3A遺伝子を組み換えるコンディショナル変異マウス(Sema3A cKO)の作出および表現型解析を行った。それぞれの実験系にて、筋線維型ミオシン重鎖(MyHC)の組成や筋線維型調節因子の発現変化を調べた。【結果】Sema3Aノックダウンによって、筋線維型マーカーslow MyHCの発現量が減少してfast MyHCが増加した。なお、転写因子myogeninとMEF2Dの発現量も減少していた。Sema3A cKOから単離した筋幹細胞の初代培養系においても、ノックダウンと同様な変化が認められた。よって、Sema3Aはmyogenin、MEF2Dを介して遅筋型筋管の形成を促す機能を有すると考えられた。これらの結果より、筋幹細胞由来の分泌因子によって筋管の筋線維型が初期決定される可能性が期待される。現在、cKO実験に関しては解析に用いる個体数を増やし、より詳細な検討を行っている。26基-80:リプログラミングによる骨格筋再生機構の解明と細胞治療法の開発研究代表者:大澤 裕(神経内科学) 胎児線維芽細胞(MEF)への3つの転写因子の発現によって人工多能性幹(iPS)細胞が樹立され、これを細胞ソースとして様々な体細胞へ分化させる再生医療が盛んである。ところが“多能性リプログラミング”に起因する癌化や誤分化の課題は依然として克服されていない。一方、一旦分化した体細胞を別の体細胞に直接リプログラミングさせる戦略も注目されているが、その機構は殆ど解明されていない。われわれは野生型及び筋分化転写因子のひとつであるAを欠損したマウスからそれぞれMEFを採取し転写因子“A”、及び“B”、“C”を導入し、筋細胞への直接リプログラミングの可否を、それぞれ検討した。野生型ばかりでなくA欠損マウスのMEFも、それぞれ単核の線維芽細胞から多核筋管細胞・筋線維様となりに収縮を始めた。この野生型線維芽細胞のリプログラミングでは、A、B、Cが、経過とともに発現した。またA欠損線維芽細胞の直接リプログラミングでは、B、Cが経過とともに発現した。細胞を野生型マウスに移植すると筋線維に取り込まれ一部は筋組織幹(衛星)細胞マーカーを発現した。すなわち線維芽細胞から筋細胞への直接リプログラミングではB、CがAより上流で制御して、筋組織幹細胞へ分化する階層が存在する。この直接リプログラミング戦略とヒト人工染色体を用いた遺伝子修復との組み合わせ治療について紹介する。S29
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