医学会誌 第41巻 補遺号
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26基-88:ステロイドホルモンによる嗅覚系神経回路調節の形態学的基盤研究代表者:樋田 一徳(解剖学) ステロイドホルモンは多様な生理活性作用により生体の恒常性の維持に寄与している。また、中枢神経系においてもステロイドホルモンがde novo合成されていることが知られており、脳の発達や神経細胞の分化や神経回路形成などに深く関わっていると考えられている(Mukai,2006,McCarthy,2008)。しかしながら、神経ステロイドの存在と作用機序の詳細は依然として推測の域を出ないのが現状である。そこで、嗅球に豊富に存在する神経化学物質のうち神経疾患と関係の深いドーパミンに着目し、ステロイドホルモンがドーパミン合成系に及ぼす影響と、嗅覚調整機能との関連についての解明を目指し、ステロイドホルモンによる嗅覚系神経回路の調節機構を明らかにすることが本研究の目的である。 C57BL6/Jマウス及びTH-GFPマウスを用い、17βエストラジオールペレット(E2; 15mg/60days release: IRA)を皮下に埋め込み、モデル動物を作製した。E2投与モデルでは、C57BL6/J及びTH-GFPマウス共にtyrosine hydroxylase(TH)免疫反応性が高まっていた。更にTH-GFPマウスではTH遺伝子発現を示すGFPの蛍光強度が高まっていた。現在、GFPタンパクの挙動との比較、嗅球への入遠心性ニューロン(セロトニン&アセチルコリン)の変化について解析を進めている。26基-22:スフィンゴ糖脂質セラミド骨格の構造多様性が担う生物機能の解明研究代表者:松田 純子(学長付)【背景】スフィンゴ糖脂質(GSL)は生体膜の構成脂質で、親水性の糖鎖部分と疎水性のセラミド骨格からなる。それぞれに構造多様性があり、組織や細胞別に特異的な分子種が発現する。種々の糖転移酵素のノックアウトマウスの解析により、糖鎖構造の重要性はかなり明らかになってきた。一方、セラミド骨格構造の重要性はほとんど解明されていない。哺乳動物の小腸および腎臓には他の組織にはほとんど存在しないスフィンゴイド塩基のC4位に水酸基が付加した「フィトセラミド」構造を持つGSLが豊富に存在する。【方法】フィトセラミドの合成にかかわる酵素:Dihydroceramide:sphinganine C4-hydroxylase (DES2)のノックアウトマウス(Des2-KO)を作製し、その表現型解析を行った。【結果】Des2-KOでは、小腸および腎臓においてフィトセラミド構造が欠損し、約25%のDes2-KOが出生早期から体重増加不良を呈して2週間前後で死亡した。Des2-KOの小腸上皮細胞および尿細管上皮細胞では、微絨毛の短縮や細胞死の増加などの明らかな組織病理変化が認められた。本来頂端膜に局在するGSLは細胞質内や側底膜にとどまり、膜輸送体タンパク質や分泌タンパク質の頂端膜への局在が失われていた。【考察】活発な消化吸収機能や外界とのバリア形成を担う小腸上皮細胞および尿細管上皮細胞において、フィトセラミド構造は必須であることが明らかになった。S23
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