医学会誌 第41巻 補遺号
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○抄録の並び順は、原則としてポスター展示の並び順となっております。26基-74:電子顕微鏡立体構築法を用いた嗅球深層神経回路の解析研究代表者:野津 英司(解剖学) 嗅球は鼻腔嗅粘膜からの匂い情報が集積する一次中枢で、匂い情報を処理し、より高次の領域へ情報を投射する。この情報処理過程には種々の介在ニューロンが形成する神経回路が関与しており、これらの介在ニューロンは様々な形態的、化学的特徴を示す細胞群から構成されている。嗅球ではこれまで、嗅球浅層部、すなわち匂い情報の入力がなされる部位において、種々の細胞が形成する神経回路の解析が進められている。一方で、嗅球から情報の出力がなされる嗅球深層部の神経回路については、ほとんど報告がなされていない。 我々はこれまで、嗅球深層部に位置する特異的な配列を示すcalbindin免疫陽性ニューロン(CB-irニューロン)を対称として免疫染色と電子顕微鏡連続切片法による解析をおこない、その詳細な形態とシナプス結合を明らかにし、これまでに知られていなかったシナプス神経回路を明らかにしてきた。この嗅球深層のCB-irニューロンは、従来軸索の有無が明らかではなかったが、免疫染色により軸索を持たないニューロンであることを示し、嗅球深層CB-irニューロンの全体像を明らかにした。また、これらのCB-irニューロンは嗅球に一様に分布しているわけではなく、部位によって分布が異なることを示した。この結果は、嗅球深層CB-irニューロンは一様にではなく、選択性を持って出力調節に関与していることを示唆する。26基-43:嗅覚系ドーパミンニューロンの形態学的解析研究代表者:清蔭 恵美(解剖学) 匂い刺激を受けた嗅受容細胞の軸索は、嗅球表層に在る特定の糸球体へと収束する。その匂い情報は、糸球体を構成する傍糸球体細胞群によって調節を受け、投射ニューロンである僧帽細胞と房飾細胞によって嗅皮質へと送られる。糸球体は嗅覚入力調整が行われる最初の領域であり、傍糸球体細胞群には、ドーパミン系ニューロンであるtyrosine hydroxylase(TH)ニューロンをはじめとした種々の介在ニューロンと外房飾細胞が分類されている。我々は、これまでTHニューロンとウィルス感染法によって標識した僧帽細胞とのシナプス解析を行ってきたが、外房飾細胞を特異的に標識する手法が無かったことから、それらが形成する神経回路の形態学的な解析が進んでいなかった。しかし、最近になって外房飾細胞のサブグループにcholecystokinin (CCK)やvesicular glutamate transporter (VGLUT)3の発現が報告されるようになった。そこで、THをgreen fluorescent proteinで検出した遺伝子改変マウスの嗅球スライスを用いて、抗CCK、抗VGLUT3抗体による多重蛍光染色を行い各ニューロン間の近接度合いを共焦点レーザー顕微鏡で観察を行った。さらに、THニューロンはDAB、外房飾細胞は金粒子で標識した免疫電顕標本作製し、現在光顕と電顕レベルの観察を対応させながら詳細な入力調節回路の解析を進めている。また、投射ニューロン特異的にCre遺伝子を発現する遺伝子改変マウス導入の申請を進め、Cre-loxシステムを用いて標識された外房飾細胞群と抗体によって標識された細胞群との比較検討も同時に行う予定である。― 神経・筋 ―S22川 崎 医 学 会 誌
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