医学会誌 第40巻 補遺号
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25大-2: 腎皮質厚と推算糸球体濾過量(eGFR)との相関:空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIによる評価研究代表者:伊東 克能、野田 靖文(放射線医学(画像診断1))【目的】今回我々は空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIを用い、腎皮髄境界を明瞭化させることで腎皮質厚を測定し、腎皮質厚と推算糸球体濾過量(eGFR)との相関についての検討を行った。【対象】空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIが施行され、慢性肝疾患を持たない患者51症例を対象とした。【方法】空間選択的IR pulseとSSFP法を併用した非造影MRIでinversion times (TIs)を700-1500msec の間で100msecずつ変化させ撮像を行った。各TIでの腎皮質・髄質の信号比を算出し、その最大値となる最適TIにおいて腎の最大長径、皮質厚を測定。それぞれ、eGFRとの相関を比較検討した。また、症例をeGFRに基づいて3群に分類(eGFR:≦59、=60-89、≧90)し、群間比較を行った。【結果】全症例において腎皮髄境界を明瞭化し得た。eGFRの平均は79.7 mL/min/1.73 m2(36.1-125.9)。腎皮質厚の平均は4.6 mm (2.5-6.9)。腎最大長径の平均は114 mm (81-124)であった。腎最大長径(P=0.038)、皮質厚(P<0.01)は何れもeGFRとの間に有意な相関を認めたが、腎皮質厚とeGFRの間により強い相関関係を認めた。3群間の比較では腎皮質厚に有意差を認めたが(P= 0.02)、腎最大長径には明らかな有意差を認めなかった(P= 0.19)。【考察】空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIは、従来の撮像法では腎皮質測定が困難な腎機能低下症例においても、腎皮髄境界を明瞭化でき、非侵襲的に腎機能を評価することが可能であると考えられる。25大-9: アルドステロンによる腎間質障害の解明:マクロファージにおけるミトコンドリア活性酸素を介したインフラマソーム活性化の関与研究代表者:柏原 直樹、角谷 裕之(腎臓・高血圧内科学)【背景】腎間質慢性炎症と付随する線維化は末期腎不全のfinal common pathwayである。慢性炎症の病態形成に細胞内蛋白質複合体インフラマソーム(Infla)の関与が示されている。Aldosterone (Aldo) による腎間質障害にInfla活性化が関与するのかを検証した。【方法】Infla構成因子のASCを欠損したマウス (ASCKO) 及び野生型マウス (WT) に1%NaCl飲水投与とAldoを4週間投与し尿細管間質障害モデルを作成し、組織障害を検討した。また、マウス腹腔マクロファージ (MФ) を用いてAldoのMФに対する直接的影響を検討した。【結果】WT-Aldo群では腎間質線維化、MФ浸潤を認めた。Inflaの構成因子の発現亢進を認め、IL-1beta及びIL-18産生は有意に増加していた。これらの変化は、Aldo拮抗薬(Eple)投与で血圧非依存性に抑制された。Inflaは間質浸潤MФで活性化していた。培養MФへのAldo添加により、IL-1beta、IL-18産生は増加した。WT-Aldo群に比しASCKO-Aldo群では、Infla活性化は抑制され、腎間質線維化も有意に改善した。さらに培養MФへのAldo添加により、ミトコンドリア由来活性酸素の増加を認めた。【結論】Aldoは間質浸潤MФにおけるInfla活性化を介して腎間質線維化を惹起する。S75

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