医学会誌 第40巻 補遺号
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25挑-4:免疫制御分子を標的とした新規がん免疫療法の開発研究代表者:大植 祥弘(呼吸器内科学)【背景】がん免疫療法は新しいがん治療法として期待されており、免疫チックポイントで、宿主免疫を抑制する分子を制御するがん免疫療法がめざましい成果を上げている。【目的】本研究では、XAGE1免疫陽性患者で、免疫チックポイントの免疫抑制因子を同定する。【方法】XAGE1免疫陽性患者23名、陰性患者11名、コントロール患者5名の末梢血を用いて免疫担当細胞のphenotypeおよび、免疫増強因子のICOS、OX40、4-1BB、GITR、免疫抑制因子の2B4、LAG-3、BTLA、PD-1、Tim-3の発現をFASCで検討した。また経時的採血により得たサンプルで上記の発現の変化を検討した。【結果】XAGE1免疫陽性者は、Th1、Th2、Th17、TFHの頻度が陰性患者に比較し有意に上昇した。一方で、制御性T細胞およびM-MDSCの頻度は有意に低下しているが、抗原特異的MDSCであるPMN-MDSCは有意な上昇を見せた。また免疫増強因子では、XAGE1免疫陽性患者で、CD4 T細胞のICOSが有意に上昇していた。その他の免疫増強因子および抑制因子で有意な差は見られなかった。XAGE1免疫が上昇した5名の経時的解析では、制御性T細胞の変化は見られないが、MDSCおよびCD4、CD8 T細胞のTim-3発現が上昇し、それに伴い抗原特異的免疫応答の減弱がみられた。【考察】XAGE1免疫が陽性の患者では宿主免疫応答の増強が見られ生存に寄与しているが、病勢の進行とともに免疫抑制細胞であるMDSCや、免疫抑制分子であるTim-3の上昇がみられ、これらを制御する免疫療法の開発が重要である。25基-20:骨髄異形成症候群から急性白血病へ移行する分子機構の探索~細胞株を用いた解析研究代表者:通山 薫(検査診断学(病態解析)) 骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes;MDS)は高齢者を中心に増加しつつある難治性の造血障害で、血球形態異常(異形成)を伴う慢性貧血・血球減少が特徴であるが、しばしば急性骨髄性白血病へ移行するという腫瘍性性格を有している。しかし急性白血病への移行メカニズムは未解明の部分が多い。本研究の目的は、当教室で独自に樹立したMDS由来細胞株とその変異株を用いて、MDSから急性白血病へ移行する病型進展の分子機構を解明することである。 研究の出発点となる細胞株MDS92は申請者が約20年前に樹立したが、その後MDS92を継代中にあらたな5つの亜株が自然発生的に出現した。以上6株から成るMDS92ファミリーはMDSから急性白血病への流れをインビトロで再現した、世界で唯一の培養モデルのラインアップである。これらを用いて全エクソーム解析を行い相互比較することによって病型進展に関わる遺伝子変異を探索する。 全エクソーム解析はまだ緒についたばかりであるが、たとえばN-RAS変異、CEBPA変異、ASXL1変異は親株であるMDS92の段階ですでに検出され、同一の変異が各亜株間で保持されていたが、RUNX1T1変異は芽球化した段階で出現し、またIL-3依存性を喪失した亜株ではIL-3遺伝子自体に変異を生じていることがわかった。現在さらに解析を進めている。S68川 崎 医 学 会 誌
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