医学会誌 第40巻 補遺号
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25基-11:ダニ抗原誘発気管支喘息の新規抗原特異的免疫療法の開発研究代表者:加藤 茂樹(呼吸器内科学)【目的】気管支喘息の治療は、吸入ステロイド薬等の開発により飛躍的に進歩したが、これらは全て対症療法であり本疾患を治癒に導くものではない。現在、気管支喘息の根治療法としては抗原を用いた免疫療法が試みられているが、安全性および有効性の面で問題点が多く残されている。我々は、独自に開発したダニ抗原誘発マウス慢性気管支喘息モデルを用いて免疫療法の開発を試みる。【方法】BALB/cマウスにダニ抗原を週2回5週間、合計10回経気道的に投与し、ダニ抗原誘発マウスアトピー型慢性気管支喘息モデルを作成した。このモデルは、好酸球性気道炎症および血中ダニ抗原特異的IgE抗体価の上昇を認めた。この疾患モデルに対して舌下免疫療法を試みる。免疫療法の評価として治療後に抗原を経気道的に投与し喘息反応を誘発し、24時間後に気道過敏性、気道炎症および抗原感作状態を評価する。【結果】本慢性気管支喘息モデルにダニ抗原を週5回2週間、合計10回舌下投与するとPBSのみ舌下投与した群と比較して気管支肺胞洗浄液中の好酸球数の減少及び血中ダニ抗原特異的IgE抗体価が低下する傾向を認めた。さらに、ダニ抗原に加えてガレクチン9を舌下投与することによりこれらの作用が増強した。【考察】ガレクチン9は、ダニ抗原誘発マウス慢性気管支喘息の免疫療法モデルにおいて好酸球性気道炎症及び抗原感作状態を改善に導く新規治療薬として期待できる。尚、気道過敏性の評価、気管支肺胞洗浄液の詳細な解析およびガレクチン9の作用機序に関する検討は来年度以降に予定している。25基-47:EBUS-TBNAを用いた気管支鏡下リンパ節生検による局所免疫応答の解析研究代表者:阿部 公亮(呼吸器内科学)【背景】肺癌およびリンパ増殖性疾患、サルコイドーシスでは、縦隔や肺門リンパ節腫大を伴う。従来、肺の所属リンパ節病変に対する検査として縦隔鏡や外科的リンパ節生検が行われてきたが、近年、低侵襲の検査として超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)が行われている。本検査の肺癌リンパ節転移診断の有用性は確立している一方で、良性疾患に対する意義についての報告は少ない。今回、EBUS-TBNAによるサルコイドーシス診断での意義を検討し、リンパ節の免疫解析を試みた。【対象】2010年10月~2013年11月、当科にサルコイドーシス疑いで入院した18例を検討した。【結果】EBUS-TBNAで診断したサルコイドーシスは9例であった。穿刺リンパ節の大きさは23.2 ± 6.5 mm、6例は20mm以上であった。EBUS-TBNA非確診例は、安全な穿刺条件を満たさない 6例、検体量が不十分1例、肺野型 2例であった。TBNA未施行のうち3例は、#10と#12が標的で、大きさは12.9 ± 1.5 mmであった。重篤な有害事象はなかった。穿刺リンパ節における免疫解析としてFACSを試みたが、検体量が少量で解析困難であった。【考察】縦隔肺門リンパ節が腫大したサルコイドーシスでは、安全な穿刺条件を満たせば、EBUS-TBNAによる診断的な有用性が高い。S67

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