医学会誌 第40巻 補遺号
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25基-26:風疹ウイルスに対するT細胞メモリーを基にした罹患防止基準研究代表者:寺田 喜平(小児科学) わが国で平成25年風疹が流行し、先天性風疹症候群(CRS)の児が30名以上出生した。現在公費補助で抗体を測定し、ワクチン接種を勧奨している。しかし、風疹は再感染を起こし、抗体陽性の女性からもCRSが出生しているため、接種対象者を陰性だけではなくHI法16倍以下も含めている。しかし、欧米では陰性者のみを対象としている。今回、適正な接種基準を調べるため、抗体とinterferon release assayによる細胞性免疫(CMI)を測定した。対象はボランティア学生を募集し、HI抗体価16倍以下の学生48名と陽性コントロールとして32倍以上の学生26名、計74名を登録し、接種対象者には風疹ワクチン接種前後で抗体およびインターフェロンγ(IFN)を測定した。その結果、抗体陰性者のうち接種後IgM抗体陽性は2/11名(18%)で、82%がB細胞メモリーを持っていた。また接種前より50%がCMI陽性であり、T細胞メモリーも持っていた。接種前後で平均値では抗体やIFN値の増加を認めた。しかし、HI抗体32~256倍の対象者では、CMI陽性者は40~50%しかなかった。一方、自然感染群の方がワクチン接種群よりIFNが高値で、また風疹ワクチン接種から採血までの間隔別に比較すると、ワクチンとの接種間隔が短いほうがIFN値は高かった。風疹は自然感染やワクチン接種後でも再感染を起こし稀にCRSを起こす理由は、CMIができにくいことが関連していると考えられた。25ス-2:HBZ蛋白を標的分子としたHTLV-1関連疾患の新規免疫療法・発症予防法の開発研究代表者:塩浜 康雄(微生物学) ヒトT細胞白血病ウイルス1型(human T-cell leukemia virus type 1: HTLV-1)は、世界で初めてヒトの疾患との関連が見いだされたレトロウイルスであり、HTLV-1関連脊髄症(HTLV-1-associated myelopathy: HAM)および成人T細胞白血病(Adult T-cell leukemia: ATL)の原因ウイルスである。HTLV-1の転写制御遺伝子である HTLV-1 basic leucine zipper factor (HBZ)はプロウイルスのマイナス鎖にコードされ、その発現量がHAM患者のプロウイルス量・運動障害度・髄液中炎症マーカー濃度と有意な正の相関を示すこと、HBZトランスジェニックマウスがCD3、4陽性細胞の皮膚・肺への浸潤とサイトカイン産生異常を示すこと、HBZの発現抑制によりATL細胞の増殖が停止することから、HTLV-1感染症における発がん・炎症形成双方の責任遺伝子であるとされており、HTLV-1関連疾患の治療法・発症予防法開発の有効な標的と考えられる。しかし、これまではHBZ蛋白質に対する優れた抗体がなかったため、研究が十分に進展していなかった。本研究では、HBZ蛋白質に対する複数のモノクローナル抗体を作製し、HBZの高感度な検出系と定量系を確立した。これらの系は、HTLV-1関連疾患の病態解明と治療・予防法の開発に資すると考えられる。S66川 崎 医 学 会 誌

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