医学会誌 第40巻 補遺号
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25基-27:急性上気道炎におけるQ熱の関与研究代表者:沖本 二郎(総合内科学1)【目的】Q熱はCoxiella burnetiiの感染症によっておこる。通常はネコやイヌなどの流産や出産に関連して、胎盤に感染しているC.burnetiiを吸入することによって感染する。このQ熱が、急性上気道炎の原因になっているか否かを検討した。【対象および方法】1.対象 平成24年4月1日から平成26年3月31日までに、附属川崎病院内科外来を受診した急性上気道炎患者を対象とした。急性上気道炎とは、37.5℃以上の発熱と、かぜ症状(咽頭痛、鼻汁、咳、痰など)、を呈する場合とした。2.方法 上記患者の初診時にQ熱PCRを測定した。【結果】1.対象数 72例が、エントリーされた。2.Q熱PCR陽性者数 対象72例中Q熱PCR陽性者数は0例(0%)であった。【考察】私どもは①市中肺炎 284例中4例(1.6%)、②慢性下気道感染症の感染増悪 80例中6例(2.5%)、③気管支喘息の急性増悪 89例中6例(6.7%)、④院内肺炎 121例中0例(0%)、⑤遷延性咳嗽 94例中1例(1.1%)に、Q熱が関与することを報告してきた。小宮らは、風邪の17.1%がQ熱と報告している。しかし、今回の結果からは、Q熱の、急性上気道炎の発症における関与を明らかにできなかった。【結論】急性上気道炎におけるQ熱の関与は少ない。25基-24:薬剤耐性菌保菌に関連する腸内細菌叢の変化の影響研究代表者:山根 一和(公衆衛生学)(背景)薬剤耐性菌による感染症は抗菌薬による治療が困難となることから、臨床上大きな問題となっている。近年、様々な抗菌薬に耐性を示す多剤耐性菌が世界中で同時多発的に蔓延していることが明らかになった。中でも、基質拡張型-β-ラクタマーゼ産生大腸菌blaCTX-M-15を保持するEscherichia coli O25-ST131はpandemic cloneと呼ばれ、医療機関のみならず、健常人の腸管にも高率に保菌されていることが明らかとなった。本研究は抗菌薬の使用が、薬剤耐性菌の腸管内への保菌にどのような影響をおよぼすか調べるために、マウスを用いた、薬剤耐性菌保菌モデルを作成することを目的とする。(方法)8週齢のC57bl雄マウスに抗菌薬(アンピシリン、シプロフロキサシン、メロペネム)を5日間経口投与した後にCTX-M-15産生E. coli O25-ST131を経口接種し便中に排泄される同菌の菌数を計測することにより腸管内への保菌状態を確認した。(結果)抗菌薬の投与により、コントロールと比較して、CTX-M-15産生E. coli O25-ST131を保菌する期間が延長した。また、抗菌薬の種類ではメロペネムを経口投与した場合、アンピシリンおよびシプロフロキサシンと比較して同菌の保菌期間が長い傾向を示した。(結論)CTX-M-15産生E. coli O25-ST131保菌マウスモデルを作成した。抗菌スペクトラムの広い抗菌薬ほど保菌期間が長い傾向が認められたことから、腸管内の細菌叢の変化が大きくなるほど、CTX-M-15産生E. coli O25-ST131は保菌されやすくなると考えられる。S63

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