医学会誌 第40巻 補遺号
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25基-52:内視鏡下食道粘膜透過性評価法の確立とその臨床応用に関する検討研究代表者:眞部 紀明(検査診断学(内視鏡・超音波))【背景】消化管粘膜バリア機能の変調がその病態に関与する消化管疾患は多い.また、粘膜バリア機能と消化管粘膜の炎症との関係も注目されている.これまでのところ、粘膜の電気抵抗が粘膜バリア機能(透過性)の指標になることが明らかにされており、in vitroの細胞透過性の実験では、その評価に電気抵抗が使われているが、手技が煩雑で臨床応用するには問題があった.【目的】2種類の交流を印加して測定する各層膜厚・水分計により消化管粘膜透過性評価が可能かを検討する.【対象と方法】粘膜傷害の程度の異なるDSS腸炎モデルを作成し、RT-PCRによる炎症およびタイトジャンクションの評価と、解剖前に測定した直腸粘膜のコンダクタンス値とUssing chamberを用いて測定した抵抗値の関連性を検討した.【結果】組織学的に炎症のより強い群ほど、腸粘膜のTNRαが上昇していたが、反対にoccludin は低下していた.全例で大腸粘膜のコンダクタンスの測定は可能であり、Ussing chamberを用いて測定した抵抗値と有意な逆相関を示した.また、組織学的炎症の程度とコンダクタンスに有意な正の相関関係が見られた.【結論】消化管粘膜のコンダクタンス測定法は、消化管粘膜の透過性評価の簡便な新たな評価法になりうることが示唆された.今後、同手法を内視鏡下に施行し、ヒトの消化管粘膜の透過性評価に臨床応用可能かを検討中である.25基-36:低用量アスピリンによる消化管粘膜障害関連SNPsの検討研究代表者:塩谷 昭子(消化管内科学)【目的】昨年度は、低用量アスピリン(LDA)による小腸出血関連遺伝子多型を新規に同定する目的で、長期LDA内服患者を対象に、網羅的SNP解析結果に基づき症例対象研究を行いいくつかの新規関連SNPsを同定し、報告した。今回、上部消化管出血関連遺伝子多型について検討した結果を報告する。【対象および方法】対象は、上部内視鏡検査を受けたLDA内服患者580例(男性382例、女性198例、年齢42~91歳、平均年齢71歳: 出血例50例を含む消化性潰瘍100例および対照者)。腫瘍例は除外した。内視鏡検査時、内服薬を中心に詳細な問診調査を行い、遺伝子多型はスタチンやアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の取り込みトランポーター遺伝子SLCO1B1に加え、Affymetrix DMETTM Plus Premier Pack.を用いた網羅的遺伝子解析を追加した。【成績】80歳以上の高齢、潰瘍既往歴、慢性腎不全、NSAIDs併用、SLCO1B1 *1b (388Gと521T)ハプロタイプが潰瘍の危険因子であり、PPI 、ARB orアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、スタチン併用は潰瘍の抑制因子であった。多変量解析の結果、潰瘍出血は、80歳以上 (adjusted OR 3.45; 95%C.I. 1.37- 8.9) 潰瘍既往歴(5.45;2.- 14.1)チエノピリジン誘導体(3.35;1.25 - 9.00)および PPI orヒスタミンH2受容体拮抗薬併用、SLCO1B1*1bハプロタイプ(6.48; 1.81- 23.2)が有意に関連した。PPI併用内服中に潰瘍出血を来した症例は1例のみでNSAIDsおよび他の抗血栓薬を併用していた。【結論】LDAによる潰瘍予防には、PPIが有効であり、SLCO1B1遺伝子多型を介したスタチン、ARB併用による潰瘍抑制効果が示唆された。S57

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