医学会誌 第40巻 補遺号
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25基-66:口腔癌におけるスイフィンゴシン-1受容体の発現に関する臨床病理学的検討研究代表者:伊禮 功(病理学1) Spingosin-1-phosphate(S1P)は、血管内皮細胞やリンパ球、癌細胞の運動調節、生存に関与するlysophospholipidである。S1PがS1P受容体に結合すると、受容体に共役するG蛋白質を介して、生理活性を発揮する。S1P受容体にはこれまでに5つのもの(SiPR1~5)が知られている。近年、扁平上皮癌にはS1PR5がmRNAレベルで、発現しているとの報告があるが、蛋白がレベルでの発現に関する報告はなく、その臨床病理学的意義については、まったく知られていない。今回、口腔癌30例を対象にS1P受容体(,S1PR5)の発現を免疫組織化学的に検討し、S1P受容体の発現様式と組織型、細胞の分化度、病期、および予後との関連性について検討した。背景の正常、あるいは白板症の粘膜ではその発現はみられないものの、とくに低分化型の扁平上皮癌、および紡錘形細胞癌の浸潤部分では、癌細胞の細胞質に顆粒状~膜状に発現が認められた。今回、S1PRの発現のパターンの違いがみられ、S1P/S1P受容体を分子標的としうる薬剤使用の選択に有用となり、将来、口腔癌の治療に選択肢が増える可能性がある。25基-64:スフィンゴシン-1-リン酸受容体の胃癌の診断・治療への応用研究代表者:秋山 隆(病理学1)【背景】スフィンゴシン-1-リン酸sphingosine-1-phosphate (S1P)は,血管内皮細胞やリンパ球,癌細胞の細胞運動の調節や増殖,生存に関与するlysophospholipidであり,血小板に多量に含まれている。最近S1Pが胃癌に関しても重要な役割を果たしている可能性が報告されているが培養細胞を用いた実験が主体であり,実際のヒトの胃癌症例を用いた研究はない。【方法】当院で切除された進行胃癌症例のホルマリン固定パラフィン包埋切片で免疫染色を実施した。【結果】平成24年度に引き続き,進行胃癌症例を検討した。腫瘍浸潤部の間質の血管増生部位が陽性であった。低分化型腺癌3例において,一部の腫瘍細胞の胞体に弱陽性所見を認めた。絨毛癌症例で見られたような腫瘍の細胞膜に強陽性所見を示す症例はなかった。【まとめ】平成23年度には胃原発の絨毛癌において細胞膜に強陽性所見を認めたが,本年度は強陽性を示す胃癌症例は確認できなかった。低分化型腺癌の胞体に弱陽性を認めたが,症例数が少なくまた部分像であり有意な結果は得られていない。腫瘍細胞の陽性例は乏しいが,静脈侵襲像の確認にも有用であるので,進行胃癌症例に染色するメリットがあると考えられる。S56川 崎 医 学 会 誌
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