医学会誌 第40巻 補遺号
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25挑-1: 大腸癌化学療法の5-FU持続点滴レジメンにおいて、5-FUTDM(Therapeutic Drug Monitoring)によって5-FU投与量を調節する個別化医療構築のための基礎的研究研究代表者:奥村 英雄(消化器外科学)はじめに: これまで5-FU系薬剤の投与量は、体表面積に基づいており、5-FUの薬物動態の個体差はまったく考慮されていない。同量の5-FU投与を受けた患者でも血中5-FU濃度に大きな個体差が生じており、有害事象の発生や非奏効の原因となっていると考えられる。また5-FU 持続静注時には、血中濃度は一定で推移するという仮定の下で血行動態の測定が行われてきたが、検証したデータはない。目的:大腸癌化学療法の5-FU持続点滴レジメンにおける5-FU薬物動態の個体差や個体内変動の実態調査の検討。患者・方法:大腸がんと診断され5-FU持続点滴化学療法を施行する患者を対象とし持続投与開始から15、90分3、6、9、12、18、24、32、46時間後と終了後60、90分後に採血する。抗原抗体免疫法(My-5FU)による5-FU血中濃度測定を行った。結果:現在までに6例を測定した。5-FU血中濃度は最高濃度が測定されたのは持続投与開始後46時間後が2例、32時間後が1例であり、投与開始後時間が経過した時点で認められた。血中濃度の推移は一定ではなく、推移の間に3-7倍の濃度差を認めた。考察:1.5-FU血中濃度の推移は一定ではないが、投与開始後18時間後以降に最高濃度が測定された。 2.血中濃度に慨日性(circadian rhythm)変化がある可能性がある。25基-32:上皮成長因子受容体遺伝子変異陽性肺癌のゲムシタビン耐性機構の解明とその克服研究代表者:越智 宣昭(総合内科学4) ゲムシタビン(Gemcitabine)は非小細胞肺癌に対する標準治療薬の一つである。特にシスプラチンとゲムシタビンの併用療法はその中心的レジメンの一つである。しかしながら、他の殺細胞性抗がん剤と同様にいずれ薬剤耐性を獲得する。その耐性メカニズムについては、ゲムシタビンの標的分子であるRRM1の高発現が強く関わっていることがすでに報告されている。ゲムシタビンはdeoxycytidineのアナログであり、細胞内でRRM1遺伝子がコードするribonucleotide reductaseを阻害することで、結果的にDNA合成と修復を阻害する。よってRRM1の過剰発現によりゲムシタビン耐性が獲得されると考えられている。上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor: EGFR)遺伝子変異陽性肺癌に対するEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(Tyrosine kinase inhibitor: TKI)の高い有効性は周知のことであるが、これまでにゲムシタビン耐性とEGFR-TKIの有効性について検討した報告はこれまでに無い。ゲムシタビンによる初回治療がのちのEGFR-TKI治療に与える影響を検討するため、今回、EGFR遺伝子変異陽性肺癌細胞株においてゲムシタビン耐性株を樹立し、その耐性機序の解明とEGFR-TKIの感受性についての検討を行った結果を報告する。S52川 崎 医 学 会 誌

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