医学会誌 第40巻 補遺号
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25基-22:小細胞肺癌細胞株におけるPD-1/PD-L1を介した細胞性免疫制御機構に関する研究研究代表者:山根 弘路(総合内科学4)【背景】現在、PD-1/PD-L1の免疫抑制系を阻害する新たな免疫療法(抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体等)の有効性が各種腫瘍系で明らかになりつつある。しかしながら、小細胞肺癌は化学療法に一旦抵抗性を獲得した後は有効な治療法がなく、更にHLA-class 1分子の低発現等により、殺細胞性T細胞免疫の促進を主たるメカニズムとする免疫療法には感受性が低いと考えられている。我々は小細胞肺癌におけるPD-L1/PD-1を介した免疫回避機構の阻害による免疫療法の可能性につき検討すべく、小細胞肺癌細胞株を用いてPD-1/PD-L1分子の発現を検討した。【結果】5種類の小細胞肺癌細胞株におけるPD-1/PD-L1分子の発現をそれぞれ2つ(計4つ)の抗体を用い、フローサイトメトリーにてその発現を検討したところ、PD-L1は5細胞株中2株に、PD-1は5細胞株中1株に発現が認められた。【結語】小細胞肺癌細胞株でのPD-1/PD-L1の発現は細胞増殖制御に何らかの関与があるものと示唆され、免疫療法のターゲットとしてだけではなく、腫瘍細胞増殖制御の面からも興味深い。今後RT-PCR法を用いてmRNAの発現を確認し、加えてsPD-L1を用いた増殖抑制試験を施行し、小細胞肺癌細胞株におけるPD-1/PD-L1の役割に関して検討を行う。25基-45:EGFR遺伝子変異を有する肺癌におけるRorシグナルの役割研究代表者:瀧川 奈義夫(総合内科学4) 肺腺癌に多く発現するTTF-1遺伝子はRor1遺伝子を誘導し、Ror1が肺腺癌の生存シグナルの伝達を担っていることが報告されている。今回、EGFR 遺伝子陽性肺癌細胞株において、Ror1の阻害による抗腫瘍効果とその機序を検討した。EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)感受性細胞株であるPC-9およびその耐性細胞株RPC-9、PC9-GRおよびPC9/ER3へRor1のsiRNA導入を行い、細胞形態変化、細胞増殖能、アポトーシス、細胞周期、および蛋白発現の解析を行った。siRNAの導入後48時間で細胞形態は球状化し、細胞間の接着能の低下が示唆された。細胞増殖は親株および耐性株で抑制されたが、耐性株の方がより強く抑制されていた。アポトーシスの検出は、ヘキスト染色による蛍光顕微鏡での観察、アネキシン抗体を用いたフローサイトメトリー法、およびCleaved caspase 3抗体を用いたウエスタンブロット法で検討したが、いずれも差は認められなかった。また、フローサイトメトリー法でのRor1阻害による細胞周期に変化はなく、ウエスタンブロット法によって検出された下流シグナル蛋白(pAkt、pErk、pStat3)にも影響は認められなかった。現在、EGFR-TKI耐性株におけるRor1阻害の機序を検討中である。S50川 崎 医 学 会 誌
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