医学会誌 第40巻 補遺号
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25基-81:慢性腎臓病(CKD)患者における中心血圧と腎組織細動脈硬化病変との関連性の検討研究代表者:浪越 為八(腎臓・高血圧内科学) 高血圧患者において、中心脈圧(大動脈起始部レベルでの収縮期と拡張期の血圧差)と腎血管超音波によって測定される血管抵抗指標(RI)には強い正相関があることが報告されている。しかし、中心血圧と腎組織細動脈硬化との関連性を検討した報告はない。目的:腎生検組織を用いて、CKD患者における中心血圧と腎細動脈硬化病変との関連性を明らかにする。研究デザイン:横断観察研究。実施期間:2013年4月~2015年3月。対象:腎生検目的にて本学附属病院腎臓内科に入院したCKD患者。方法:入院時に適格性を確認し、文書による同意を得た。腎生検終了後、退院までの間に中心血圧測定を行った(オムロン社製デジタル自動血圧計HEM-9000AI使用)。腎生検組織は2人の腎臓内科医により半定量的に評価された。中心血圧(CBP)及び同時に測定される上腕収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)、脈圧(PP)、Augmentation Index(AI)と腎細動脈硬化病変との関連を解析した。結果:2014年3月までに34例が登録され、30例で解析可能であった。平均年齢49(22-76)歳。男女比16:14。BMI 24±4。IgA腎症18例、膜性腎症5例、腎硬化症4例、他3例。高血圧16例、糖尿病3例、脂質異常症15例、高尿酸血症9例。eGFR 66.8±20.6ml/min/1.73m2。RI 0.62±0.07。CBP 129±20、SBP 125±17、DBP 78±9、PP 47±11mmHg、AI 78±15%。腎細動脈硬化46.2±20.4%。高血圧群で有意に腎細動脈硬化が上昇していた(54.0±20.9 vs 37.2±16.1%, p=0.02)。単回帰分析にて、CBPのみ腎細動脈硬化との有意な正相関が得られた(p=0.049, R2=0.13)。一方、PPはRIと有意に正相関していた(p=0.044, R2=0.15)。結語:少数例での解析では、中心血圧と腎細動脈硬化病変との関連が示唆された。さらに症例数を増やし、最終解析を行う予定である。25基-75:腎線維化における酸化ストレス依存的Wntシグナル伝達制御機構の解明研究代表者:佐藤 稔(腎臓・高血圧内科学)【背景】腎線維化は進行性腎障害の重要な予後規程因子である。近年、尿細管上皮細胞のG2/M期での細胞周期停止が腎線維化進行に関連していることが明らかとなった。酸化ストレス条件下では、G2/M期の細胞周期停止に転写因子FOXOが関与する。FOXOは酸化ストレスの亢進によりWntシグナル下流の伝達蛋白であるβ-cateninと複合体を形成する。Wnt/β-catenin経路活性化は腎臓の発生段階だけでなく、腎障害の進展にも関与している。「酸化ストレス増加によるFOXO/β-catenin複合体形成増加が線維形成性サイトカイン分泌を増加させる」との仮説を立て、検証した。【方法・結果】ヒト培養尿細管上皮細胞を、活性酸素 (100 μM過酸化水素) 存在下でWnt3a (50 ng/ml) の刺激を行った。活性酸素存在下ではWnt刺激により、FOXO3a/β-catenin複合体形成が増加した。通常Wnt3a刺激で活性化するTCF転写活性は、活性酸素存在下で低下し、Wnt3a刺激単独では活性化しないFOXO転写活性は、活性酸素存在下で増加した。また、GADD45、cyclin G2などG2/M期細胞特有の遺伝子発現が酸化ストレス下では増加し、G2/M期細胞の比率も増加していた。このG2/M期細胞ではTGF-βの発現、CTGFの発現が増加していた。酸化ストレス亢進によるJNK活性化がFOXO/β-catenin複合体形成を増加させ、G2/M期細胞の遺伝子発現増加に寄与していた。【結語】酸化ストレスは細胞のG2/M期での細胞周期停止と引き続く線維形成性サイトカイン分泌を増加させる。酸化ストレスの軽減が腎の線維化を軽減させる可能性がある。S43
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