医学会誌 第40巻 補遺号
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25基-44:経皮的大動脈弁置換術のための経食道三次元心エコー図による大動脈弁複合体の解析研究代表者:今井 孝一郎(循環器内科学)【背景】外科的弁置換術(SAVR)が施行困難な高リスク重症大動脈弁狭窄に対して、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)が新たな治療法として施行可能となった。SAVRでは術中に直視下で人工弁サイズを決定できるが、TAVRにおいては術前の経胸壁心エコー図(TTE)および経食道心エコー図(TEE)による計測値を用いてバルンや人工弁のサイズを決定する必要がある。【目的】TTEおよびTEEで計測した大動脈弁輪径(An)の妥当性について検討すること。【方法】対象はSAVRを施行された大動脈弁膜症17例。術前に2DTTE、2DTEE, 3DTEEで計測したAnと術中にvalve ring sizerを用いて計測したAnを比較した。【結果】2DTTEおよび2DTEEで計測したAnと比較し、3DTEEで計測したAnは術中の計測値と良好な相関を示した(p<0.05)。【結語】3DTEEによりAnを正確に評価可能であり、TAVRにおいても術前術中評価に有用と考えられた。25基-61:64列MDCTを用いた新たな心筋虚血診断法の検証研究代表者:川元 隆弘(循環器内科学)【背景】64列MDCTを用いた冠動脈イメージングが広く施行されているが、心腔内や心筋のCT断層情報を統合した心筋虚血診断はいまだ行われていない。本研究ではこれらの情報を統合し、新たな心筋虚血診断の可能性を探究することを目的とした。【方法】まず虚血性心疾患における64列MDCTの診断能の検証を行なった。MDCTと冠動脈造影を施行した連続25例を対象とし、径狭窄率と病変部組織性状との比較をおこなった。径狭窄率50%以上の病変を有意狭窄とし、病変を石灰化プラーク・非石灰化プラーク・混合型・非プラーク病変の4つに分類した。石灰化プラークは50%以上を石灰化(CT値130HU以上)が占める病変、非石灰化病変は石灰化を含まない病変、混合型はプラークに50%未満の石灰化を含む病変、非プラーク病変はプラーク面積率が40%未満の病変と定義した。さらに駆出率、一回拍出量、拡張末期容量、収縮末期容量との比較をこころみた。【結果】59病変が、MDCTにより有意狭窄と判断された。そのうち32病変が冠動脈造影で有意狭窄であることが確認された(陽性的中率64%)。病変性状別の陽性適中率は石灰化プラーク33.3%、非石灰化プラーク91.7%、非プラーク病変56.2%、混合型で50%であった。心腔内断層情報との対比については解析にいたらず、ここで結果を示すことができない。【考察】MDCTによる冠動脈狭窄の陽性的中率は、プラーク性状の影響を受ける。心腔内断層情報と対比することでより診断能を高める可能性があり引き続き検証していく必要がある。S38川 崎 医 学 会 誌

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