医学会誌 第40巻 補遺号
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25基-5:急性期脳卒中患者に対する24時間血糖モニタリング(OGM)測定研究代表者:植村 順一(脳卒中医学)背景と目的:虚血性脳血管障害急性期発症後に血糖を低下させることが予後を改善させるかどうかは不明である。 今回の研究の目的は急性期脳梗塞患者に持続血糖測定を行い、血糖変動と脳梗塞後の症状増悪・ 脳梗塞体積増加の関係を評価することである。対象、方法:対象は2011年1月から2013年12月まで川崎医科大学附属病院脳卒中科に入院し、発症24時間以内の内頸動脈あるいは中大脳動脈閉塞患者である。経動脈、経静脈血栓溶解療法を施行された患者は除外し、前向きに登録した。対象例に対して、持続血糖測定器を3日間装着した。我々は血糖変動幅と入院時採血値、臨床症状の変化、頭部MRI拡散強調画像の1日後、3日後の拡大虚血体積を比較・検討した。結果:対象は74例(男性33例、年齢中央値82歳、内頸動脈閉塞14例、中大脳動脈閉塞60例)だった。血糖変動幅(MAGE)低値は72時間後の神経症状の改善、MAGE高値は72時間後の出血性梗塞、梗塞体積拡大と関係した。糖尿病、MAGEによる分類では、非糖尿病群でMAGE高値は72時間後の梗塞体積拡大、MAGE低値は72時間後の症状改善と関係した。結論:急性期脳梗塞後の血糖変動は、非糖尿病患者で特に、梗塞巣拡大や症状増悪に関係している可能性がある。25基-48:内皮由来過分極因子の定量化と糖尿病性冠微小循環障害モデルへの応用研究代表者:矢田 豊隆(医用工学)背景:これまでにマウス腸間膜微小血管において、血管内皮Cu,Zn-SODが、内皮由来過分極因子(EDHF)としての過酸化水素産生に重要な役割をする事が知られている。今回、コントロール群と糖尿病群において、内因性過酸化水素(H2O2)が内皮依存性血管拡張反応に関与するか否か、また、Cu,Zn-SOD と H2O2の産生の両者の関連について評価を行った。方法:左冠動脈前下行枝(LAD)と回旋枝(LCX)の間に存在するイヌ冠微小側副小動脈(>100 μm)と細動脈(<100 μm)を観察した。ブラジキニン投与時及びペーシング負荷(心拍数60から120b.p.m.)による内皮由来血管拡張反応をコントロール群と糖尿病群(alloxan静注後1週間)で比較を行った。心筋内Cu,Zn-SODとH2O2、冠静脈洞血中8-OHdGは、ELISA法を用いて計測した。結果:ブラジキニン投与時及びペーシング負荷時ともに、小動脈に対するNO依存性血管拡張は、コントロール群に比べ糖尿病群において、有意な低下を認め、むしろ収縮した。一方、細動脈のEDHF依存性血管拡張は、糖尿病群において、減弱するもH2O2濃度の維持とともに血管拡張反応は、残存した。H2O2産生に関与する心筋内Cu,Zn-SOD量は、両群の間で有意差を認めなかった。酸化ストレスの指標(8-OHdG)は、コントロール群に比べ、糖尿病群で明らかに増加した。結論:糖尿病時冠微小循環において、ブラジキニン投与時及びペーシング負荷時ともに、小動脈におけるNO依存性血管拡張反応は障害され、EDHFとしてのH2O2は、NO減少に対して代償的に働き、血管拡張反応は残存した。糖尿病時の血管内皮障害の原因として、酸化ストレスの増加が窺われた。S34川 崎 医 学 会 誌

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