医学会誌 第40巻 補遺号
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25基-15:発症時間不明の脳梗塞例に対するMRIに基づいたtPA療法研究代表者:青木 淳哉(脳卒中医学)【目的】発症時間の不明な脳梗塞例は全体の約4分の1を占める。我々は以前、頭部DWIで信号変化を呈していてもFLAIRで陰性な場合(Negative FLAIR)、発症から3時間以内である確率が高いことを報告し、発症時間が不明な脳梗塞に対するNegative FLAIRに基づいたtPA療法の使用経験も示した。今回、その有効性と安全性を、Negative FLAIRでありながら従来療法を受けた対照群(脳卒中レジストリーから抽出)と比較した。【方法】発症時間が不明な内頸動脈閉塞例または中大脳動脈閉塞例(M1、M2閉塞)を対象とした。DWI-ASPECTS 4点以下は除外した。tPA療法はNegative FLAIRがあれば、発見から4.5時間以内に開始した。対照群は、当院の脳卒中レジストリーから抽出した。【結果】24例が登録された。対照群は40例であった。対照群40例中30例がtPA療法の試験期間外の発症、2例がINR高値、3例が術後早期、5例がFLAIR判定困難例であった。NIHSSスコアは両群で差はなかった(Negative FLAIR-tPA群 18 [14-20] vs. 対照群 14 [9-19], P=0.063)。症候性頭蓋内出血はNegative FLAIR t-PA群で0例、対照群で1例であった(P=1.000)。7日後に神経症候が著効(NIHSSスコア10点以上の改善又は0、1点)したのは、Negative FLAIR-tPA群で 46%、対照群で20%であった(P=0.047)。多変量解析ではtPA療法が7日後の神経症候の著効に関する独立因子であった(オッズ比 6.70、95%信頼区間1.60-28.05、P=0.009)。【結論】発症時間が不明であってもNegative FLAIRであればtPA療法で短期的な神経症候の改善が得られる可能性がある。25挑-3: 非心原性脳梗塞急性期における抗血小板薬多剤併用療法(アスピリン+シロスタゾール)の有効性と安全性に関する多施設共同ランダム化比較研究研究代表者:芝㟢 謙作(脳卒中医学)【背景】非心原性脳梗塞の再発予防には、抗血小板薬の投与が推奨されている(特にアスピリン)。近年、Cilostazol Stroke Prevention Study 2で、シロスタゾールの脳卒中再発低減効果と安全性が示唆された。非心原性脳梗塞の約20%に症状の進行や再発がみられ、急性期に抗血小板薬併用療法が試みられているが、エビデンスは確立されていない。【目的】急性期非心原性脳梗塞における抗血小板薬併用療法(アスピリン+シロスタゾール)の有効性と安全性について、多施設共同ランダム化比較研究を行う。【対象と方法】対象は、研究参加施設へ入院した発症48時間以内の非心原性脳梗塞患者。全主任研究施設は川崎医科大学脳卒中医学、実施期間は倫理委員会承認後~2015年4月で、目標症例数は2000例である。主任責任者および研究分担者がコンピューター登録で無作為に2群(アスピリン+シロスタゾール併用群 vs. アスピリン単独群)へ割り付けする。主要評価項目(投与14日以内の神経症候の悪化、投与14日以内のTIA, 脳梗塞の再発、脳内出血、くも膜下出血)、副次的評価項目(発症3ケ月後のmRS、投与14日以内および3ケ月以内の複合血管イベント、投与期間中の出血性合併症、有害事象)について、2群間で比較検討する。【進捗状況】研究は進行中であり、2014年3月31日までに943例が登録された。S33

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