医学会誌 第40巻 補遺号
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25基-29:老齢脳血管性認知症モデル動物の作製および運動による認知機能改善効果の確認研究代表者:氷見 直之(生理学2) 若年ラットにおいて、マイクロスフェア(MS)注入により脳血管塞栓を多発させたモデルの空間記憶能の低下が、早期の全身運動負荷により抑制されたが、血管性のリスク要因がより高い老齢ラットにおいて同様の運動効果が見られることを確認中である。 また、この脳血管塞栓多発モデルにおいて、塞栓箇所の同定、梗塞巣の発生面積および空間記憶能の相関を調べ、血管性認知症モデルとしての可能性についても現在検討中である。 18月齢の老齢ラット4頭を入手し、脳血管塞栓発症後の運動強度を決定するために乳酸性作業閾値(LT)を測定した。トレッドミル速度換算のLT値は10週齢の若年健常(25.4m/min)、若年MS注入2日後(20.9m/min)各群と比較して老齢健常ラットでは有意に低かった(15.8m/min)。この結果より、老齢ラットの運動強度は12m/minと決定した。老齢ラットの右総頸動脈より径45μmのMS 3000個を注入し、脳血管塞栓を発症させた。若年ラットではMS注入による空間記憶能の低下が水迷路試験にて示されたが、老齢ラットでも同様に認知機能の低下が確認された。1週間のトレッドミル運動群と非運動群の認知機能については今後n数を増やし比較していく(現在各群n=2)。25基-30:脳梗塞後の運動野リマッピングに対するリハビリテーションの時間空間的影響研究代表者:岡部 直彦(生理学2) 運動野障害時にリハビリテーションを行うと運動野のリマッピングがおこる。本研究では、脳梗塞後のリハビリテーションが運動野マップにどのような時間空間的影響を与えるかを調べた。実験では、梗塞をCaudal Forelimb Area (CFA)に作成し、リーチテストと運動野マップの評価を梗塞前、梗塞1、4、7、14、28日後に行った。リーチテストにおいて、リハビリテーションを行わなかったラットでは、リーチテスト成功率は梗塞後2週間にわずかに改善したが、その後再び低下し、最終的には梗塞直後と同等の成功率となった。リハビリテーションを行ったラットでは梗塞3週間後には有意な改善が見られ、リハビリテーション4週間終了時にはPT前の80%程度まで回復した。運動野マップの評価において、CFA領域は梗塞によりほぼ消滅しており、Rostral Forelimb Area(RFA)は梗塞部位と離れていたにも関わらず、有意に縮小した。このRFA領域はリハビリテーションを行わないと梗塞2週間後まで回復せず、梗塞4週間後でもわずかに回復するのみであったが、リハビリテーションを行うと、2週間後から有意な回復が見られ、4週間後には梗塞前を超える大きさとなった。これらの結果は、リハビリテーションが梗塞後の運動野マップの変化を増強させるとともに、変化の開始時点を早めることを示している。S30川 崎 医 学 会 誌

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