川崎医学会誌39-2
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24挑-5:抗VEGF抗体硝子体内投与による眼虚血性疾患の治療研究代表者:三木 淳司(眼科学)【目的】網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)に伴う黄斑浮腫に対して、bevacizumab硝子体投与(IVB)による単独治療を行い、視力および光干渉断層所見について検討した。【対象と方法】対象は黄斑浮腫を伴う非虚血型BRVOで、IVB後6か月以上経過観察し得た23例23眼。平均年齢は63.5歳(40~81歳)、平均経過観察期間9.4か月(6~12か月)であった。方法はIVB前、IVB後1週、1、3、6、9、12か月時のlogMARおよび中心窩網膜厚(CRT)を測定した。また、IS/OSラインの状態分類を行い、視力を検討した。初回投与後、浮腫が軽減した状態で判定し、IS/OSラインが連続して確認できるものをIS/OS(+)群、一部断裂しているものをIS/OS(±)群、確認できないものをIS/OS(-)群に分類した。【結果】IVB平均投与回数は1.91回/眼(単回投与10眼、複数回投与12眼)であった。平均logMARはIVB前0.39からIVB1週後0.18と早期から有意に改善し、12か月後でも0.09と有意な視力を維持していた(p<0.001)。CRTはIVB前485μmからIVB1週後277μmと有意に改善した(p<0.01)。3か月後では351μmと浮腫が再発するが、12か月後でも364μmとIVB前よりも良好な結果であった。IS/OSラインの状態に関わらず良好な視力改善が得られ、IS/OS(+)(±)群では投与前に比べて有意に改善していた。【結論】IVB単独治療により、IVB 1週後の超早期から視力とCRTの有意な改善が得られた。複数回投与が必要な症例もあったが、12か月後まで良好な改善を維持できることが判明した。また、IVB後の浮腫が軽減した状態でIS/OSラインを評価することは、視力予後の予測に有用であると考えられる。24挑-1:血圧脈波検査機器を用いた新しい脳卒中診療の開発研究代表者:佐治 直樹(脳卒中医学) 本研究の目的は、ラクナ梗塞や白質病変などの無症候性脳病変や、脳血管障害の病態について、血圧脈波検査を用いて血管障害の観点から検討することである。 我々は、まず予備試験の臨床データを解析した。血圧脈波検査で計測される、動脈硬化の指標であるbaPWV(brachial-ankle pulse wave velocity)やCAVI (cardio-ankle vascular index)は無症候性脳病変と独立して関連した(Hypertens Res.2012,Internal Med.2012)。また、baPWVは進行性脳卒中とも独立して関連した(Stroke. 2012)。これらの結果から、血圧脈波検査と脳血管障害との関連は明らかとなったが、その機序については、未解明な点も多い。そこで現在は、脳血管障害と血圧脈波検査の関連について新たに臨床データを蓄積している。平成24年4月から12月の期間では、脳血管障害患者266例に血圧脈波検査を実施した。その結果、一過性脳虚血発作(baPWV:17.0 m/s)と比較してラクナ梗塞(20.0 m/s)やアテローム血栓性梗塞(21.8 m/s)ではbaPWVは高値であり、脳梗塞症例における脳血管系の動脈硬化を反映したと思われた。 今回、我々が得た結果は既報告と矛盾しないが、血圧脈波検査は他臓器疾患との関連も多く報告があり、引き続き臨床的意義の解明にむけて努力していきたい。S70川 崎 医 学 会 誌
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