川崎医学会誌39-2
72/86

24大-6:iPS細胞を用いた網膜再生医療研究代表者:桐生 純一、鎌尾 浩行(眼科学)【目的】iPS細胞の維持培養や分化誘導は、他の細胞株の培養方法と異なるため、当施設においてiPS細胞の維持培養と網膜色素上皮細胞(RPE)への分化誘導が可能か検討した。【方法】RIKEN Cell Bankより提供されているiPS細胞を用いた。iPS細胞を3ヶ月間維持培養し凍結保存、1週間後に融解し再度3ヶ月間維持培養した後、iPS細胞の未分化マーカーの発現を検討した。その後、iPS細胞をRPEへ分化誘導を行い、RPEマーカーの発現の検討とRPEの機能であるバリア機能、血管内皮増殖因子(VEGF)・色素上皮由来因子(PEDF)の分泌量を測定した。【結果】長期培養後のiPS細胞は未分化マーカーであるOCT3/4・Nanog、SSEA-4、Tra1-60を発現していた。分化誘導したiPS細胞は、3週間程で一部にRPE特有の色素をもった敷石状の細胞が出現した。純化した色素細胞はRPEのマーカーであるRPE65、MERTK、BEST1、CRALBPを発現していた。TranswellTMのinsert内で培養した色素細胞は、経上皮電気抵抗にて高い電気抵抗値を示し、VEGFは基底側、PEDFは上皮側に優位に分泌し極性を持つことを示した。【結論】iPS細胞の維持培養と網膜色素上皮細胞(RPE)への分化誘導に成功した。今後、作製したiPS細胞由来RPEをin vivoにおいて機能評価する予定である。S68川 崎 医 学 会 誌

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です