川崎医学会誌39-2
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24大-7:関節リウマチ様関節炎モデルマウス発症早期における好酸球の役割研究代表者:石原 克彦、雜賀 太郎(免疫学) 関節リウマチの病態における好酸球の関与について、2つの関節炎マウスモデル [①ノックインマウスgp130F759 (IL-6の信号異常によりリウマチ様関節炎を自然発症する。)、②抗原誘導関節炎AIA (抗原メチル化BSAで感作したマウスの関節腔に抗原を注射する。)]を用いて検討した。① 臨床的関節炎を認めない5ヶ月齢gp130F759のフローサイトメーター解析により、野生型と比較して関節滑膜細胞中で6.2倍、鼠径リンパ節で5.8倍の好酸球増加を認めた。好酸球の遊走・生存に関わる遺伝子発現をリアルタイムPCRにより解析したところ、リンパ節ではIL-33とCCL11(Eotaxin-1),関節ではIL-33の遺伝子発現が有意に増加しており、関節微小環境で産生されるIL-33よる好酸球の生存延長が示唆された。② 野生型B6でAIAを誘導し、経時的に滑膜細胞の系譜と細胞数をフローサイトメーター解析した。抗原投与した側の関節滑膜では生食投与側と比べ、好中球が投与後1日目に最大増加(16倍)を示して急速に減少するのに対して、T細胞、好酸球、好酸球前駆細胞は、3日目に6倍以上の増加を示し、7日目も3倍以上の増加が持続した。2つの関節炎マウスモデルで発症前の関節滑膜で好酸球の増加を認めた。今後は好酸球欠損マウス⊿dblGATAを用いて関節炎病態における好酸球の役割を解析していく。(597)24大-5:急性期虚血性脳血管障害患者におけるソナゾイドを用いた造影頸動脈超音波検査の検討研究代表者:木村 和美、坂井 健一郎(脳卒中医学)背景と目的:造影頸動脈超音波検査で頸動脈プラークの新生血管のような微小血管が評価できると報告されている。本研究の目的は急性期虚血性脳血管障害患者で、造影されるプラークを有する頻度や臨床的特徴について明らかにすることである。方法:対象患者は2011年7月から2012年5月までの間で発症から48時間以内の急性期虚血性脳血管障害を来院から72時間以内に造影頸動脈超音波を施行し、1.5㎜以上のプラークを有する症例について検討した。造影剤はソナゾイド(ペルフロブタンバブル、第一三共)を使用した。造影超音波検査はソナゾイド1.5mlを静脈からボーラス投与した後に生理食塩水でフラッシュし、両側総頸動脈・内頸動脈を評価した。プラークを有する症例についてenhance群とnon-enhance群の2群に分け、臨床背景の評価を行った。結果: 160例が造影頸動脈超音波検査を施行し、プラークを有する症例は73例であった。Enhance群は41例(56.2%)、non-enhance群は32例(43.8%)であった。糖尿病の有病率(41.5%vs. 15.6%,p<0.037)とWBC (6884.6±2354.3 mg/ml vs. 5914.3±1589.3 mg/ml,p=0.047)は有意差を持ってenhance群の方が高かった。対照的に心房細動の有病率(2.4% vs. 28.1% p=0.003)とD-dimer(1.6±2.7mg/dl vs. 3.7±7.3mg/dl,p=0.011)は有意差をもってenhance群で低かった。年齢、性別、高血圧、脂質異常症,RBC,CRP,LDL-CHO,TGは2群間で差はなかった。多変量解析を行うと、糖尿病のみが独立した関連因子であった(OR3.7,95%CI 1.02-13.0,p=0.046)。結語:急性期虚血性脳血管障害患者において、糖尿病は造影頸動脈超音波検査で造影されるプラークと関連がある。S66川 崎 医 学 会 誌

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