川崎医学会誌39-2
68/86

24基-87: Partitioning分析法を用いた手術部位感染(SSI)発生の解析とチーム医療を通じたSSI教育及び改善に向けての実践研究代表者:林 次郎(総合外科学) Surgical Site Infection (SSI)は外科治療領域の日常的問題である。SSIにより患者の身体的精神的負担が増え医療費の増加などにつながる。100 %の感染予防策は無く、少なからず術中・術後感染が起こり、そのリスクを最小限に抑えることが重要である。周術期のSSI対策としてSSIサーベイランスを行うことでその発生率が減少する。【目的】SSI予防のためチーム医療でのSSI対策教育・実践に取り組むことを本研究の目的とする。【方法】外科手術症例のSSI発生例を表層、深部等に分類し、患者背景因子(性別、年齢、疾患、既往症、栄養など)、手術関連因子(清潔度、手術時間、出血、術後合併症など)の統計学的解析を行いSSIに深く関連する因子を選択する。SSI対策チームを結成し、チームミーティングを行い問題点の共有と改善策を決定する。準備期間を経てサーベイランスを行いSSI発生の防止に貢献されたかを観察する。次年度からの外科手術症例におけるSSI発生について再度解析を行い、改善策の効果判定・次なる問題点の抽出を行いSSI対策チームで検討す。SSI発生率の改善が期待され、 SSI発生の減少が医療費削減及び創処置時間の短縮に貢献し、スタッフのSSIに対する啓蒙と知識共有という教育的活動の推進及びチーム医療の意識及び質的向上が得られると期待される。現在、倫理委員会に申請準備中で成果のまとめ中である。24基-97:院内PACSと携帯インターネット端末を用いた遠隔地域の脳卒中診療支援システム研究代表者:井上 剛(脳卒中医学) 本研究は、遠隔地と都心部の脳卒中診療の地域格差を是正するため、遠隔地病院の院内PACSと都心部病院医師の携帯インターネット端末を繋いで、脳卒中の遠隔地診療支援システムを構築し、検証する研究です。遠隔地は岡山県北部の病院、都心部は川崎医科大学附属病院です。 初年度は、実際に現場で必要とするシステムを構築するために、遠隔地と都心部の医師それぞれにヒアリングを行い、各病院でのシステムの構築のためのITの準備を行っています。 県北部の津山地域の病院医師のヒアリングでは、救急外来や入院の脳疾患患者の頭部MRIなどの検査画像を、検査直後から都心部の脳神経専門医に読影してもらい診療のアドバイスを希望していました。川崎医科大学附属病院の脳神経の専門医師へのヒアリングは、診療支援のため毎週1回半日は遠隔地病院に勤務しているが、外来受診する患者や入院患者の数が多く、十分に診療ができていない。脳卒中患者が遠隔地病院に受診や入院する都度、都心部の専門医師へ診療依頼をし、直ちに遠隔地病院の医師へ診療のアドバイスを希望していました。遠隔地と都心部の医師は同様のニーズを持っていました。現在は県北にある津山中央病院、岡山市内の榊原病院と岡山赤十字病院のそれぞれ病院内システム情報の管理者と、各病院の院内PACSの画像データ(MRIやCTなど)を病院外の川崎医科大学脳卒中専門医師へ伝達するシステムの現在協議中です。S64川 崎 医 学 会 誌

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です