川崎医学会誌39-2
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24基-21: 肉芽腫性多発血管炎に対する抗CD20抗体の有効性と治療ガイドを目的としたバイオマーカーの探索研究代表者:守田 吉孝(リウマチ・膠原病学)【目的】多発血管炎性肉芽腫症(GPA)に対するリツキシマブ(RTX)の有効性が報告されている。しかし、寛解後にB細胞数やANCA値と無関係の再燃例も多く、持続的寛解維持を目的とした投与法の確立と、それに寄与するバイオマーカーが望まれる。RTX治療中のGPA症例の血清サイトカインを網羅的に測定し、疾患活動性を反映する因子を探索した。【症例と方法】GPA症例は肺内多発結節を有する34歳女性。ステロイド併用下でRTX(0.5g週1x4回)を投与し、GPAは寛解に至った。30週後RTX0.5gを追加投与した。経時的に採取した患者血清をRTX投与前~投与12週間後(活動期n=7)と投与16~42週後(非活動期n=7)の2群に分け、26種のサイトカイン(IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12p40、IL-12p70、IL-13、IL-15、IL-17、eotaxin、G-CSF、GM-CSF、IFNα2、IFNγ、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、TNFα、TNFβ)の血中濃度をbead-based multiplex assayで測定した。【結果】測定サイトカインの中で、IL-4、IL-6、IL-15、eotaxin、G-CSF、IP-10、TNFαが正常人(n=4)と比べGPA活動期に4倍以上の高値(p<0.05)であった。そのうちIL-4、IL-6、IL-15、G-CSFは治療開始42週間後までに有意(p<0.05)に低下した。一方、eotaxin、IP-10、TNFαは42週後の時点でも高値が持続した。【結論】RTX投与42週後までの観察にて、血中サイトカイン濃度は様々な変動を示した。本パイロット研究がGPAの病態やRTA投与後の生体内免疫反応を把握する一助となることを期待したい。S62川 崎 医 学 会 誌

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