川崎医学会誌39-2
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24基-89:関節リウマチ由来滑膜線維芽細胞異常増殖機構の解明研究代表者:五十嵐 英哉(免疫学) AID(Activation Induced cytidine Deaminase)を異所性に発現する関節リウマチ(RA)由来の滑膜線維芽細胞(FLS)株から同定したp53変異体の一つであるR248Qに着目し、野生型 p53cDNA(p53WT)を鋳型としてinverted-PCR法によりR248Q変異体(p53R248Q)を作出した。これをヒトRA由来FLS株MH7Aに強制発現させp53WTと比較した結果、細胞増殖および標的分子のp21、bax、puma、noxaの発現量に顕著な差は認められなかった。しかし、p53依存性に誘導されるアポトーシス促進分子p53AIP1の発現は有意に抑制された。さらに過酸化水素曝露による酸化ストレス応答に際しても、p53R248Qはp53AIP1の誘導を抑制し、p53WTの導入とは相反して、細胞周期上アポトーシスを起こした細胞を含むsubG1分画の減少が認められた。 p53AIP1の単独過剰発現によってMH7Aにアポトーシスが誘導されること、およびp53AIP1ノックダウンにより過酸化水素曝露によるアポトーシス誘導が抑制されることから、p53R248Q変異を持つFLSでは、酸化ストレス下でのp53AIP1の発現誘導が抑制され、アポトーシス抵抗性を獲得することでRAの病態形成の一因になっている可能性が示唆された(論文投稿中)。24基-53:難治性乾癬における抗ヒトTNFαモノクローナル抗体の血中濃度とサイトカインの関係研究代表者:林 宏明(皮膚科学) 乾癬病変部での炎症持続には、炎症のメディエーターであるサイトカインが重要な役割を果たしており、このサイトカインネットワークの異常が病態形成にかかわっている。そのなかでも、最近TIP-DC/Th17/Th22細胞や炎症性サイトカイン(IL-1βIL-6,IL-17,IL-22,TNFαなど)が病態維持に役割を果たしていることがわかってきた。当科にてインフリキシマブ(IFX)で治療を行った難治性乾癬の患者に、治療前、治療開始後のIFXの血中濃度、抗IFX抗体、サイトカインやケモカインの測定を行い、同薬剤の免疫系への影響を検討した。結果はIFX治療開始後に二次無効をきたした症例はIFXの血中濃度が1.0μg/mlを下回っており、多くの症例はその時点で抗IFX抗体を検出した。血清中TNFα濃度を比較すると、二次無効を生じた際にはベースラインに比べて高値となっており、この傾向は乾癬の病態において役割を果たしているIFN-γ,IL-17などのサイトカインでは認められなかった。また、二次無効を生じていない症例のTNFα濃度はベースラインに比べて低値となっていた。簡便に血中濃度や抗体を測定できない現在においては、IFX治療開始後の血清中TNFα濃度の上昇はIFX治療で二次無効となっていることを示す指標のひとつとなるかもしれない。S61

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