川崎医学会誌39-2
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24基-99:マウス妊娠初期の母体免疫寛容に関する基礎的研究研究代表者:大山 文男(生化学) 妊娠中の母体は、一時的に免疫寛容状態を維持していると考えられている。従って免疫抑制がうまく制御できない場合、流産につながる。この免疫抑制の機構は長らく不明であったが、近年、マウスの実験からトリプトファン(以下Trp)分解酵素の一種であるindoleamine 2,3- dioxygenase(IDO)が免疫抑制に関与している事、またCD8+細胞の活性抑制にも関与することを示唆する報告がなされた(1998年Munnら)。我々はその後IDOの発生過程での働きを明らかにするために、マウスの胚・胎盤でのTrp分解活性の変化を経時的に観察すると、その活性は受精後5.5日に初めて検出され、6.5日にピークとなり、その後漸減した(Suzuki et al., 2001)が、免疫抑制に関与すると言われているIDOタンパクはもっと遅い受精後8.5日に初めて出現し、10.5~12.5日ごろにピークとなることを見出した.昨年度は着床直後の妊娠7.5日マウス胎児のTrp分解活性はIDOではなく、それまで肝臓にのみ発現するとされてきたTrp酸素添加酵素(TDO)によるものである事、またその発現部位は免疫組織学的に子宮筋層直下の脱落膜細胞中に発現していることを報告した。今回はIDOの発現部位を検討しているが、非特異的反応の少ないmRNAの発現をin situハイブリダイゼイションで確認すべく遂行中であり、また自然流産を起こしやすい系統であるCBA strainにおける胎児・胎盤でのTDOおよびIDOの発現についても鋭意検討中である。24基-29:関節リウマチマウスモデルgp130F759における酸化ストレス状態研究代表者:石原 克彦(免疫学) IL-6ファミリーサイトカインに共通の受容体サブユニットgp130にY759F変異を持つノックインマウスgp130F759は関節リウマチ様の自己免疫性関節炎を自然発症する。関節炎発症前から初期の病態を探るために、臨床的関節炎が認められない5ヶ月齢のgp130F759と対照野生型B6(雌3匹ずつ)の6臓器[関節、骨、脾臓、鼠蹊部リンパ節、腸間膜リンパ節、小腸]よりRNAを調製し、DNAマイクロアレイによる発現遺伝子の網羅的解析を行った。gp130F759の関節において好中球、好酸球、B細胞特異的遺伝子の発現増加が認められ、5ヶ月齢での初期病変発生が確認された。全身性および関節組織特異的な変動を示した酸化ストレス関連遺伝子の発現量をリアルタイム PCRにより定量比較したところ、雌(6匹ずつ)では一定の傾向は認められなかった。また、4,6ヶ月齢(雌)の血清を用いたd-ROM(酸化ストレス)とBAP(抗酸化能)の解析においても差は認められなかった。しかし、雄(6匹ずつ)の関節組織の定量的発現遺伝子解析では、gp130F759においてAryl hydrocarbon receptor(Ahr),peroxiredoxin2(Prdx2)の増加傾向とNF-E2-like 2(Nrf2)の低下傾向が認められた。 関節炎発症初期病態における酸化ストレス応答に性差の存在する可能性が示唆された。S60川 崎 医 学 会 誌

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