川崎医学会誌39-2
57/86
24基-82:急性上気道炎におけるQ熱の関与研究代表者:沖本 二郎(総合内科学1)〈目的〉Q熱(Coxiella burnetii感染症)は、ネコやイヌから感染する疾患である。このQ熱が、急性上気道炎の原因になっているか否かを検討した。〈対象および方法〉1.対象 平成24年4月1日から平成25年3月31日までに、附属川崎病院内科外来を受診した急性上気道炎患者を対象とした。急性上気道炎とは、37.5℃以上の発熱と、かぜ症状(咽頭痛、鼻汁、咳、痰など)、を呈する場合とした。2.方法 上記患者の初診時にQ熱PCRを測定した。〈結果〉1.対象数 52例が、エントリーされた。2.Q熱PCR陽性者数 対象52例中Q熱PCR陽性者数は0例(0%)であった。〈考察〉私どもは①市中肺炎 284例中4例(1.6%)、②慢性下気道感染症の感染増悪 80例中6例(2.5%)、③気管支喘息の急性増悪 89例中6例(6.7%)、④院内肺炎 121例中0例(0%)、⑤遷延性咳嗽 94例中1例(1.1%)に、Q熱が関与することを報告してきた。 今回の結果よりQ熱は、急性上気道炎の発症における関与は少ないものと推察された。 しかしQ熱は、イヌやネコの胎盤で増殖したC. burnetiiから感染するため、動物の繁殖期である春、秋の急性上気道炎患者をさらに検討したい。〈結論〉急性上気道炎におけるQ熱の関与は少ない。24基-90: 風疹抗体価による罹患防止基準と風疹ウイルスに対するメモリーT細胞およびB細胞についての検討研究代表者:寺田 喜平(小児科学) 職員や学生の院内感染防止のため、麻疹、風疹、水痘、流行性耳下腺炎などのウイルス感染は抗体測定によって免疫の有無を評価し、予防接種の対象者を決定している。しかし、罹患予防には抗体、細胞性免疫、粘膜上の分泌型IgA抗体などが複合的に作用する。そのため、免疫の有無について抗体価のみによる評価は不十分で、細胞性免疫がもっとも重要であると考えられている。今回、ワクチン接種前後で抗原刺激後の全血中インターフェロンガンマ分泌量(IFNγ)を測定することによってメモリーT細胞(細胞性免疫)との関連を評価しようと考えた。特に風疹は妊婦が感染すると先天性風疹症候群を起こすので、免疫の有無の評価は重要である。医療系大学で入学時抗体検査HI抗体32倍以下のボランティア学生を募集して、ワクチン接種前後に抗体と風疹ウイルス抗原刺激後のIFNγを測定する。現在、ボランティア学生募集し、採血と測定を開始したばかりなので、結果については抄録に記載することができない。― 感染症・アレルギー/免疫疾患 ―S53
元のページ