川崎医学会誌39-2
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24基-60:Flow cytometryを用いた赤血球膜蛋白異常症における赤血球CD47発現量解析研究代表者:末盛 晋一郎(検査診断学(病態解析)) 赤血球膜蛋白異常症では先天性の赤血球膜蛋白異常により膜構造に変化が生じることで赤血球形態が変化する。変形した赤血球は脾臓にて本来の寿命よりも早くマクロファージに貪食される。その結果、赤血球膜蛋白異常症では赤血球破壊が亢進することになり、赤血球破壊亢進が骨髄における赤血球造血を上回った場合には貧血を呈する(溶血性貧血)。即ち赤血球膜蛋白異常症でみられる溶血性貧血は、①「赤血球膜蛋白異常による赤血球形態変化」と②「脾臓でのマクロファージによる赤血球貪食亢進」という2相の過程を経て生じるといえる。ところでこれまでの赤血球膜蛋白異常症症例の解析において、共通の赤血球膜蛋白異常を有しているにも関わらず、症例間で溶血性貧血の程度が異なっていることを少なからず経験している。この現象の原因について本研究では、「脾臓でのマクロファージによる赤血球貪食亢進」の観点から解明することを目的とし、脾臓におけるマクロファージによる貪食亢進の標的になると考えられるCD47の赤血球表面発現量をflow cytometryにて解析することとした。今回、これまでに解析し得た結果を報告する。24基-57:血液細胞の分化過程における細胞骨格系分子の動態と血球異形成との関連研究代表者:通山 薫(検査診断学(病態解析)) 細胞骨格を司る蛋白分子群としてアクチン、微小管、中間径フィラメントの3群がある。これらの分子群に異常がおこると細胞形態の異常や運動能・貪食能などの機能に障害をきたすと予想されるが、今回われわれは中間径フィラメントに注目し、血液細胞に存在するビメンチンの細胞機能形態における役割、血球形態異常との関連を調べることとした。 ヒト白血病細胞株HL60をall-trans retinoic acid (ATRA)処理にて好中球系へ、TPA+ビタミンD3処理にてマクロファージ系へ分化誘導する実験系を用いて、ビメンチンの発現と局在をウェスタンブロッティング解析および蛍光顕微鏡観察にて検討した。HL60はもともとビメンチン発現が弱いが、好中球系分化誘導によってさらに発現低下する傾向が見られたが、形態学的には限局した線維状構造として捉えられた。一方マクロファージ系へ分化誘導するとビメンチン発現は著増し、形態上も広汎に分布する傾向が見られた。つまり分化誘導の方向によってビメンチンの発現と局在が大きく異なることがわかった。 ビメンチンの特異的阻害剤withaferin A処理では細胞伸展の抑制、レンチウィルスを用いたshRNA導入による遺伝子ノックダウンの結果ではchemotaxisに障害が認められるなど、血液細胞の機能形態とビメンチンの関連を解明中であるが、血球異形成との関連はまだ不明である。S51
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