川崎医学会誌39-2
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24基-24:経口フッ化ピリミジン系抗がん剤の有害事象発生と効果の予測に関する基礎研究研究代表者:松本 英男(消化器外科学)はじめに:経口フッ化ピリミジン系抗がん剤は高い有効性と利便性がある。しかしながら、高度な有害事象の発生もあり、コンプライアンスは必ずしも良いとは言えない。この原因として、5-FUの血行動態に極めて大きな個体差がある。現在のBSAに基づく投与量では、5-FU血中濃度の過剰が生じ、有害事象の発生に関与していることが考えられる。5-FU血中濃度を個別にモニタリングして投与量を調節することが望ましいが、従来のgas chromatography-mass spectrometry(GC-MS)法では結果を得るまでに時間がかかり、血中濃度モニタリングの臨床応用は現実的ではない。血中5-FU濃度を簡便に測定できる免疫抗体法(My5-FU)が開発された。TS-1内服時の5-FU血中濃度を従来法と同時に測定し比較検討した。方法:TS-1を経口投与し、投与後2、4、6、8時間で採血を行った。血中の5-FU濃度をGC-MS法とMy5-FU法を用いて測定した。それぞれの方法でAUC0-8、T1/2、Cmaxをそれぞれ計測した。結果:男性7例、女性2例の9例を対象とした。GC-MS法とMy5-FU法でAUC0-8、T 1/2とCmaxはそれぞれ847.9、1311.2 min(μM・h)、2.76、3.5h、186.6、259.8 ng/mlであった。AUC 0-8とCmaxはMy5-FU法の方が高く、T1/2も長い傾向があるが、有意に相関しており(p=0.0001、p=0.0007)、5-FUの血中濃度推移も有意に相関していた(p=0.018)。 考察:TS-1内服時には血中のuracil濃度がかなり高くなり、My5-FU法では交差反応によって5-FU測定値に正誤差の影響が生じていると考えられ、My5-FU法でのCmax、AUCは高くT1/2も長くなるが、いずれの指標値も有意に相関していることから、5-FU血行動態の把握は可能であると言える。My5-FU法はTS-1内服時の5-FU血中濃度のモニタリングに有用である可能性が考えられた。24基-67: 化学療法時薬剤性間質性肺炎発症と予後因子としての血清蛋白(血清KL-6,SP-A,SP-D,TARC/CCR17)濃度推移に関する検討研究代表者:山根 弘路(総合内科学4)【背景】血清KL-6値は特発性間質性肺炎や放射線肺炎の重症度・臨床経過と相関することが報告され、特発性間質性肺炎の診断基準にも組み込まれている。血清SP-A、SP-D値もKL-6と共にその血中濃度が特発性間質性肺炎の重症度や臨床経過を反映することや放射線療法に起因する間質性肺炎の予後因子となること、また単独で特発性間質性肺炎の予後との相関などが報告されている。一方、Th2ケモカインであるTARC/CCL17はCCR4の活性型リガンドであり、様々なアレルギー性疾患でその濃度上昇が起こることが報告されている。主として生体内好酸球浸潤を反映するものと考えられ、急性好酸球性肺炎で上昇すると報告されている。上述の如く、これら4種の血清蛋白は、化学療法により誘発される薬剤性間質性肺炎の予後予測因子となり得る可能性がある。今回われわれは、間質性肺炎の既往歴を有さない化学療法施行患者のこれら4種の血清蛋白濃度の推移を前向きに検討中である。【結果】2013年1月から現在(2013年5月13日)まで川崎医科大学附属川崎病院総合内科学4にて加療中の悪性腫瘍患者のうち、同意の得られた30名からのべ31回の血清を採取し保存した。30例中1例に薬剤性間質性肺炎を認め、化学療法を中断の上、経過観察中である。(現在研究進行中により具体的数値/結論の提示不能)S49

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