川崎医学会誌39-2
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24基-69: 新規流動食MHN-02を用いた食道癌の周術期管理の臨床的有用性-乳清タンパク質分解ペプチドの抗炎症作用と侵襲抑制効果の検討-研究代表者:山辻 知樹(総合外科学)【目的】侵襲の大きい消化器癌周術期においては高血糖や重症感染症等の合併症に難渋する。近年我々はパラチノースを主糖質源とした流動食MHN-01(Inslow:インスロー)の食道癌周術期における臨床的有用性を示した。引き続き同じくパラチノースを糖質源として開発された免疫調整流動食MHN-02(MEIN:メイン)を食道癌周術期管理に導入した。MHN-02は乳清ホエイペプチドとn-3系脂肪酸を付加することにより、動物では抗炎症作用が示されている。【方法と対象】2013年2月までに手術を行った食道癌患者10名(男9名女1名)にMHN-02を導入、血液生化学検査や合併症発症率などを解析。術前3日間朝夕各200mlのMHN-01を内服、術後2-3日目から経腸栄養チューブより持続投与を開始。【結果】下痢を1例に認めた他には特記すべき消化器症状無。1例に重症肺炎を発症した他には重篤な呼吸器合併症を認めず。術後3日、7日目の白血球数は各々9,990±1,430/mm3、8,080±590 /mm3、CRPは16.1±1.2 mg/dl、8.3±1.4mg/dl。明らかな肝・腎機能障害も認めず。この結果をもとに既存の流動食あるいはMHN-01との無作為比較試験を計画中である。これまで明確なエビデンスのなかった新規流動食の抗炎症効果と臨床的意義を検証したい。24基-80:低用量アスピリンによる小腸粘膜傷害関連因子の検討研究代表者:塩谷 昭子(消化管内科学)【目的】低用量アスピリン(LDA)による小腸出血関連遺伝子多型を新規に同定する目的で、長期LDA内服患者を対象に、網羅的SNP解析結果に基づき症例対象研究を行った。【対象および方法】原因不明消化管出血(OGIB)の診断でカプセル内視鏡を行い小腸粘膜傷害を確認したLDA内服17例と性別・年齢をマッチさせたLDA内服対照群18例の血液よりDNAを抽出した。薬物代謝・トランスポーター遺伝子解析用マイクロアレイ(DMET plus)を使用し、網羅的SNP解析を行った。有意な関連性が得られたSNPsについてPCR-RFLP法あるいはTaqMan SNP Genotyping Assayキットを用い、バリデーションを行った。【成績】アレイ解析の結果、小腸出血と関連する29 SNPsを同定した。バリデーションの対象は、小腸出血35例と対照420例。アレイ解析で特定した23SNPsの検討で、小腸出血と有意な関連性が認められたのは、CYP4F11_20043G>A(D446N) OR 2.7(95% C.I. 1.3-5.7)、XDH_c.3030C>T(F1010F) 2.3 (1.10-4.81)、CYP24A1_18948C>T 3.4(1.2-9.8)、GSTP1*B_c.313A>G(I105V) 2.4 (1.1-4.9)であった。多変量解析の結果、脳血管障害の基礎疾患,NSAIDs内服併用とともにCYP4F11 20043GG(3.35、 95% C.I. 1.41-7.80)はLDA小腸出血の危険因子であった。さらにGSTP1*B 313G塩基保有者は小腸出血群で有意に高率であった(43.7% vs 23.9%、p=0.018,OR2.53、95%C.I. 1.21-5.28)。【結論】CYP4F11 およびGSTP1*B SNPsはLDAによる小腸出血予測のマーカーとなる可能性が示唆された。S40川 崎 医 学 会 誌

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