川崎医学会誌39-2
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24基-49:低侵襲透析バスキュラーアクセス機能評価法の確立と臨床応用研究代表者:春名 克祐(腎臓・高血圧内科学) 至適透析を担保する上で、バスキュラーアクセス(VA)の重要性は不変である。透析患者数の増加・高齢化に伴いそのトラブルは増加し、VA管理が重要な課題となっている。現在の臨床現場では血管造影が施行できる施設は限られ、旧態依然のVA音聴取や脱血不良などを指標にVAインターベンション(VAIVT)を行っているのが現状であるが、診断感度は高くなく客観性に乏しい。それゆえ簡便で感度の高いVA機能評価法の登場が望まれている。 我々はこれまで透析モニターHD02を用いた実血流測定が、VA機能評価に有用であることを報告してきた。牛血液系実験から穿刺針の脱血特性推定式を算出し、そこから得られた推定血流量からの実血流量の乖離が、VAIVT後で改善されることを示した。 今回我々は40例のVAIVT症例において、VAデザイン(AVFもしくはAVG)、およびVA狭窄部位による実血流量変化の有無を比較検討し、報告する。24基-46:小型透析器を用いたビタミンE固定化膜による活性酸素産生軽減効果の基礎的検討研究代表者:堀家 英之(腎臓・高血圧内科学)[背景]慢性腎不全患者では、尿毒症物質蓄積による活性酸素産生の増加、抗酸化能の低下により酸化ストレスが増加している。血液透析患者においては体外循環により、活性酸素産生が増加し、さらに酸化ストレスが増大していることが予測される。しかし、透析により尿毒症物質が除去されることにより、酸化ストレスが軽減していることも予測される。本研究では、透析時時に酸化ストレスが如何に変化しているのか、また、活性酸素産生はいずれの細胞により生じているのかを小型透析器を用い、検討した。また、ビタミンE固定化膜による活性酸素産生軽減効果も併せて検討した。[方法]SDラット (体重600-800g) に0.75%アデニン含有食を3週間投与し、腎不全モデルを作成した。コントロールには正常SDラットを用いた。腎不全完成後、VPSまたはAPSマイクロモジュールを用い、1時間の透析 (血流1ml/min、透析液サブラッド流速5ml/min) を施行した。透析前後の血液を白血球、赤血球、血漿に分離し、NADPH oxidase活性、MPO活性、キサンチンoxidase活性を測定した。[結果]腎不全ラットにVPSマイクロモジュールを用いた透析では、白血球分画でNADPH oxidase活性、MPO活性が透析前後で上昇が認められた。赤血球分画では高いMPO活性が認められたが、透析前後で有意な変化がなかった。APSマイクロモジュールを用いた透析では、白血球分画でのNADPH oxidase活性化、MPO活性化がVPSに比較し、有意に抑制されていた。[結語]血液透析時には、主に白血球分画で活性酸素産生が生じていた。VPS透析膜ではこの活性酸素産生の軽減効果が認められた。S38川 崎 医 学 会 誌

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