川崎医学会誌39-2
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24基-86: 薬剤溶出性ステント再狭窄例に対する治療法別の再々狭窄の比較研究-イメージングを用いて-研究代表者:鼠尾 晋太郎(循環器内科学)【背景】薬剤溶出性ステント(DES)の使用により、ステント再狭窄は減少したが、ステント再狭窄例に対する治療法については未だ確立していない。【目的】ステント再狭窄例に対する治療法とその後の再々狭窄との関係について、検討すること。【方法】対象は当院においてステント留置術を施行後に再狭窄を来した連続120例中、再血行再建を施行し、かつ冠動脈造影検査によるフォローアップを行った78例である。再血行再建時にDESを留置した群(DES群)とPOBAのみを施行した群(POBA群)との間で、再々狭窄率を比較した。【結果】DES群はPOBA群と比較し有意に再々狭窄率が低値であった(16% vs 39%、p<0.05)。初回留置ステントがベアメタルステント(BMS)であった例(n=41)では、DES群とPOBA群との間で再々狭窄率に差を認めなかった(17% vs 24%、p=NS)。一方、初回留置ステントがDESであった例(n=37)では、DES群で再々狭窄率が有意に低率であった。(17% vs 53%、p<0.05)。【結語】BMS留置後の再狭窄に対するDES留置はPOBAと同等の成績であったが、DES留置後の再狭窄病変に対するDES留置はPOBAのみよりも有効であった。24基-55:VerifyNowを用いた血小板機能からみた術前抗血小板剤中止のタイミング研究代表者:種本 和雄(心臓血管外科学) 現在、各種抗血小板剤投与を受けている患者が増加しているが、エビデンスに基づいた術前休薬期間は示されていない。従来の比濁法による検査は操作が煩雑で検査時間も長く、臨床応用には至っていないのが現状である。しかし近年、迅速で簡便かつ正確な血小板機能測定装置VerifyNow®システムが登場し、内服中のモニタリングが可能となった。本研究は同システムを用いて術前薬剤中止後の血小板機能回復経過から至適術前中止時期を明らかにし、術直前の血小板機能と術後出血量の関係を検討することを目的に行うものである。 平成24年度は、クロピドグレルを内服中の予定手術患者10例を対象にVerifyNow®を用いて最終内服日から手術当日までのPRU値および抑制率を経時的に測定し、血小板機能回復経過から至適中止時期を検討した。休薬後5日目よりPRU値がcut off値を上回り、血小板凝集能が回復していることが示された。 また、心臓手術待機症例31例を術式別にVerifyNow®を用いて血小板機能を測定し、術後出血量との相関を検討した。僧帽弁形成術11例において、PRU値と術後出血量に有意な相関(p=0.002)を認めたが、大動脈弁置換術15例および心拍動下冠動脈バイパス術5例においては有意な相関は認めなかった。以上の結果から、VerifyNow®システムは術前に出血量を予想するデータを提供する可能性があると考えている。S32川 崎 医 学 会 誌

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