川崎医学会誌39-2
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24基-40:64列マルチスライスCTによる心機能診断法の検証研究代表者:川元 隆弘(循環器内科学)【背景】まず心機能低下の原因として最も多い虚血性心疾患における 64列multi-detector(MD)CTの診断能の検証を行った。MDCTでの冠動脈プラーク性状分析が可能かを検証し、その冠動脈狭窄診断に与える影響について検討を行った。【方法】MDCTと冠動脈造影を施行した連続25例を対象とした。MDCTで径狭窄率50%以上の病変を有意狭窄とした。病変を石灰化プラーク・非石灰化プラーク・混合型・非プラーク病変の4つに分類した。石灰化プラークは50%以上を石灰化(CT値130HU以上)が占める病変と定義し、非石灰化病変は石灰化を含まない病変と定義した。混合型はプラークに50%未満の石灰化を含む病変と定義し、非プラーク病変はプラーク面積率(=100x[プラーク面積]/[血管面積])が40%未満の病変と定義した。【結果】59病変が、MDCTにより有意狭窄と判断された。そのうち32病変が冠動脈造影で有意狭窄であることが確認された(陽性的中率64%)。病変性状別の陽性適中率は石灰化プラーク33.3%、非石灰化プラーク91.7%、非プラーク病変56.2%、混合型で50%であった。【考察】MDCTによる冠動脈狭窄の陽性的中率は、プラーク性状の影響を受ける。石灰化病変や非プラーク病変の診断には、他の検査による虚血の評価が必要であると考えられた。24基-78: 真の“スーパーノーマル”(若年者と同様の心機能を有する高齢者)はあり得るのか -心エコー図法で“スーパーノーマル”パターンを呈する被験者について、その基礎心疾患を解明する-研究代表者:秋山 真樹(総合内科学3)背景;心エコー図法における、E/A(左室流入血流の拡張早期波と心房収縮波の速度比)の正常値は若年者では1以上、高齢者では1未満である。しかし一見心機能障害を認めないにもかかわらず、E/Aが1以上の高齢被験者をしばしば経験する。この被験者が若年者と同様の心機能を有する高齢者、“スーパーノーマル”であるのか否かは明らかでない。目的;心エコー図法で“スーパーノーマル”パターン(左室駆出率が正常で E/Aが1以上)を呈する高齢被験者の基礎疾患を解明する。方法;2011年1月から2012年12月までの間に心エコー図法を施行した被験者のうち、“スーパーノーマル”パターンを示す60歳以上の被験者を対象として、E/Aが高値となりうる心疾患、全身疾患の有無を検索した。該当する疾患がない場合には、不整脈疾患の有無を検索した。結果;“スーパーノーマル”パターンの高齢被験者は96例であった。内訳は、中等症以上の僧房弁閉鎖不全症16例(16.7%)、開胸術後11例(11.5%)、貧血または腎機能障害7例(7.3%)、その他8例(8.3%)、該当疾患なしが57例(59.3%)であった。該当する疾患がない被験者に対して不整脈疾患の検索を行ったところ、発作性心房細動28例(29.1%)、上室性期外収縮の多発10例(10.4%)、心室性期外収縮の多発1例(1.0%)を認めた。残りの18例は不整脈検索を施行できなかった。結語;真の“スーパーノーマル”は無いか非常にまれである。“スーパーノーマル”パターンを呈する高齢被験者では、発作性心房細動を念頭に置き精査する必要がある。S29

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