川崎医学会誌39-2
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24基-25: βアドレナリン受容体up-regulationにおける三量体Gタンパクの発現変化と遺伝子発現調節機構の解明研究代表者:大熊 誠太郎(薬理学) βアドレナリン受容体(β-AR) 拮抗薬により、様々な組織においてβ-ARのup-regulationが生じることが報告されているが、その詳細な機序は明らかにされていない。そこで本研究では、初代培養大脳皮質神経細胞を用いてβ-AR拮抗薬により誘発されるβ-ARのup-regulation機序を検討した。その結果、nadololによるβ1-ARの発現は、24時間で有意に増加し、その発現増加は、PKCの阻害剤であるchelelythrineおよび、α1-ARの拮抗薬であるprazosinによって有意に抑制された。また、α1-ARの選択的agonistであるphenylephrineによりβ1-ARのみ有意な発現増加が認められた。さらに、nadololによるβ1-ARの細胞膜上への発現増加は、PI3Kの阻害剤であるLY294002で有意に抑制された。nadololによるβ1-ARのup-regulationは、β-ARの阻害により、内因性のノルエピネフリンがα1-ARを刺激することにより、PKCおよびPI3Kの活性化を介してβ1-ARの発現増加を促進したものと考えられる。24基-26: 薬物依存形成に伴うType I inositol 1,4,5-trisphosphate receptor(IP3R-1)発現制御機構の解明研究代表者:水野 晃治(薬理学) IP3 receptorsは、ほとんどの細胞に分布している小胞膜上に存在するカルシウムチャネルで、細胞内Ca2+濃度の調節に重要な役割を果たしている。我々は、これまでにコカイン誘発性薬物依存形成時においてDopamine D2-like receptors(D2DRs)を介した薬物依存形成に伴うIP3R-1 up-regulationが引き起こされることを報告している。そこで、本研究ではD2DRsを介したIP3R-1の発現調節機構について詳細に検討した。その結果、QuinpiroleによるIP3R-1発現増加は、D2DR antagonistであるraclopride、Gβγ modulatorであるGallein、phospholipase C (PLC) の阻害薬であるU73122、カルモジュリンキナーゼ阻害剤であるKN-93、さらにはカルシニューリンの阻害剤であるFK506により有意に抑制された。また、quinpirole刺激により、核内におけるcFos、リン酸化cJun、およびNFATc4の発現が増加し、これらの発現増加は、KN-93およびFK506により抑制された。ChIP Assayでは、cFos, cJun, NFATc4とIP3R-1プロモーター領域との結合が認められた。これらの結果からD2DRs活性化によるIP3R-1の発現増加は、Gβγを介したPLCの活性化に伴う細胞内Ca2+の増加と、これによるカルモジュリンキナーゼおよびカルシニューリン活性化を介したAP-1、NFATc4の核内移行増加に伴う転写活性上昇に起因すると考えられる。S26川 崎 医 学 会 誌

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