川崎医学会誌39-2
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24基-92: 光感受性色素と光ファイバーによりラット脳の目的部位に微小脳梗塞を発症させる方法の開発研究代表者:氷見 直之(生理学2) 脳梗塞後の急性期リハビリテーションの効果やメカニズムを研究するためにラットのシビアな脳梗塞モデルが用いられているが、急性期リハビリテーションが難しいモデルとなっている。さらに、梗塞が広範囲に及び、リハビリテーションの効果が生じる領域を特定しにくい。そこで我々は急性期の運動が可能なマイルドな梗塞を特定部位に作製するため、光感受性色素と光ファイバーを用いた手法を検討中である。 最初に海馬に微小梗塞を作製した。光ファイバー(径50μm)の先端が海馬に到するよう刺入し、Rose Bengal(20mg/kg)を尾静脈より注入後、レーザー光(533nm、500mW)を2min照射した。24時間後に脳組織を摘出し、切片を作製しHE染色にて観察した。 Sham群(RoseBengalなし、照射あり)と比較して、RoseBengal注入群では、ファイバー先端周辺に神経細胞の欠損およびマイクログリアの集積が観察された。さらに7日後よりMorris水迷路試験を行った結果、sham群と比較してRoseBengal注入群は空間記憶能が有意に低かった。 海馬梗塞モデルはほぼ作製できたが、今後は、多発性梗塞モデル(微小梗塞を複数箇所に発症)や、線条体梗塞モデルなどを作製し、症状や組織を確認しながらモデルの精度を高め、リハビリテーションによる回復のメカニズムの検討に適用していく。24基-10: パーキンソンモデル動物に対する嗅粘膜細胞由来ドーパミンニューロンと嗅神経鞘細胞の同時移植の効果研究代表者:宮本 修(生理学2)【目的】パーキンソン病(PD)に対するドーパミン産生細胞の移植は極めて有望な治療法である。本研究では、移植用細胞として嗅粘膜から神経幹細胞を採取・増殖し、ドーパミンニューロンへの分化誘導について検討し、さらに嗅神経鞘細胞との共移植の可能性についても検討する。【方法】生後3週齢のラットの嗅粘膜を採取してコラゲナーゼ処理後、DMEM/F12-ITSを基本培地として培養し、ニューロスフェアを作製した。トリプシンを使用して接着細胞にし、一部の細胞はネスチンやSOX2などの幹細胞マーカーで免疫染色した。PDラットは片側の内側前脳束を6-ヒドロキシドーパミンで破壊することで作製し、アポモルフィン誘導回転数を測定した。PDラットの線条体に嗅粘膜から作製した細胞を移植した後、誘導回転数を再度測定した。【結果】嗅粘膜の上皮層と固有層に存在する幹細胞の性質が異なり、固有層から作製したニューロスフェアの増殖能がより高いことが分かった。また、増殖した細胞は幹細胞マーカーが陽性であった。上皮層と固有層の両方の神経幹細胞が混在した細胞を移植したところ、アポモルフィン誘導の回転数の改善は見られなかった。移植部位には移植細胞がほとんど残存していないか、グリア化していた。今後、固有層からの幹細胞をドーパミンニューロンに分化させて移植すること、および固有層に存在する嗅神経鞘細胞との共移植を行う予定である。S24川 崎 医 学 会 誌
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