川崎医学会誌39-2
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24基-37:肺炎クラミジアが宿主細胞小胞輸送異常を引き起こすメカニズムを探る研究代表者:簗取 いずみ(分子生物学2(遺伝学)) 細菌は体内に侵入すると貪食によりファゴソームに取り込まれ、①ファゴソーム内に産生された活性酸素による殺菌、②ファゴソーム・リソソーム融合に伴う殺菌性蛋白質による殺菌、といった生体の防御システムをうける。しかし、偏性細胞内寄生性細菌である肺炎クラミジアはエフェクター分子を宿主細胞に注入し、生体防御機構から逃れるシステムを持つことで、宿主細胞内に持続感染することを可能としている。そこで、本研究では酵母を用いて、細胞内輸送機構に異常を起こすエフェクター分子の網羅的探索を行った。スクリーニング用酵母発現ベクターpYY010に肺炎クラミジア機能未知遺伝子455個の組換えを行った。さらに、カルボキシペプチターゼY融合インベルターゼ発現酵母に、pYY010-肺炎クラミジア遺伝子プラスミドを遺伝子導入し、細胞内の小胞輸送異常により細胞外へ分泌されたカルボキシペプチターゼY融合インベルターゼの活性を測定した。その結果、特定の肺炎クラミジア遺伝子を酵母に発現させると、酵母内での細胞内輸送異常を引き起こすことが明らかとなった。その中で、機能解析が全くなされていない分子に注目し、特異的抗体作成、Yeast-two-hybrid法による、結合分子の同定、大腸菌を用いて組換えタンパク質の大量精製などを行い、本研究で発見した分子の機能解析をすすめている。S13

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