医学会誌43-補遺号
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28基-4:院内肺炎C(重症)群に対するTAZ/PIPC,PZFX併用投与の有効性に関する検討研究代表者:沖本 二郎(総合内科学1)【背景】日本呼吸器学会「成人院内肺炎診療ガイドライン」によるとC(重症)群に対してはTAZ/PIPCとPZFXの併用を選択薬の1つとして推奨している。【目的】成人院内肺炎C(重症)群に対し、TAZ/PIPCとPZFX併用投与の有効性に関して検討 した。【対象と方法】 1.対象   2014年1月から、2017年3月までに、川崎医科大学総合医療センターで加療を行った院内肺炎C(重症)群を対象とした。C(重症)群とは重症度分類(IROAD)が3項目以上の場合とした。 2.方法  上記患者にTAZ/PIPC 1回4.5g、1日3回、 PZFX 1回500mg 1日2回の併用投与を行った。  そして、その臨床効果、細菌学的効果、副作用などにつき検討した。【結果】 1.20例がエントリーされた。 2.臨床効果  20例中有効12例(有効率60%)、無効(死亡)8例であった。 3.細菌学的効果   12例に起炎菌が同定され、除菌10株(S. pneumoniae 3株、E. coli 2株、MSSA、K. pneumoniae、E. faecalis、P. areuginosa 各々1株)であり、2株(K. pneumoniae、E. faecalis)が存続した。 4.副作用   臨床検査値異常は8例(40%)に認められ、AST、ALT上昇 各々4例、Crn、BUN 各々2例、 ALP、Amy上昇 各々1例であったが、いずれも軽度で治療を要した症例はなかった。【考察】 院内肺炎C(重症)群に対するTAZ/PIPC、PZFX併用投与の臨床効果(有効率)は60%であった。C (重症)群に対する治療成績としては良好な結果であると考えられた。 さらなる臨床効果を得るには抗菌薬投与のみでなく、全身管理を含む補助療法が必要であろう。【結論】 院内肺炎C(重症)群に対するTAZ/PIPC、PZFX併用投与の臨床効果(有効率)は60%であった。S70川 崎 医 学 会 誌

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