医学会誌43-補遺号
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28基-48:膵液の流れの定量的評価と腹部症状に関する検討:Time SLIP併用非造影MRIによる評価研究代表者:山本 亮(放射線医学(画像診断1))【目的】以前の我々の研究でCine-Dynamic MRCPにより非侵襲的に膵外分泌機能を定量評価することが可能であることが証明された。本研究の目的はCine-Dynamic MRCPを用いて評価した膵外分泌機能と腹部症状との関連性を明らかにすることである。【対象と方法】何らかの腹部症状を有する患者103症例に対しCine-Dynamic MRCPおよび18項目の腹部症状に関するアンケートを行った。腹部症状に対し薬剤が処方され症状が改善している症例を除外し、最終的に42症例が本研究の対象となった。2名の放射線科医の合意によりCine-Dynamic MRCPが評価された。膵外分泌スコアとして定量化された膵外分泌機能と18項目の腹部症状との関連性を評価した。【結果】腹部症状18項目のうち項目9「おならの臭いがいつもよりくさい」、項目13「便の量が多 い」、項目18「便がやわらかい」の3項目に関してはCine-Dynamic MRCPにより測定された膵外分泌機能の低下に伴い有意に症状が出現する結果となった。その他の15項目の腹部症状に関してはCine-Dynamic MRCPを用いて測定された膵外分泌機能との有意な相関は認められなかった。【考察】結果に示した3項目の腹部症状に関しては膵外分泌機能低下により現れやすい症状と考えられた。患者がこのような症状を訴えた場合は膵外分泌機能低下の可能性を疑い、積極的にCine-Dynamic MRCPによる膵外分泌機能評価を行う必要があると考えられた。28ス-3: 非造影MR cholangiopancreatography(MRCP)による膵液の流れと慢性膵炎重症度分類との関連性について検討研究代表者:八十川 和哉(放射線医学(画像診断1))【目的】慢性膵炎における空間選択的IRパルス併用シネダイナミックMRCPによる膵外分泌機能評価と膵管の形態変化に基づく重症度分類(ケンブリッジ分類に基づいた)との関係性について検討。【方法】空間選択的IRパルス併用シネダイナミックMRCPが施行され、慢性膵炎が疑われた39例を対象。MRCPの手法を用いて膵管胆管合流部に空間選択的にIRパルス(幅20mm)を印加することで、関心領域に流入してくる膵液を高信号として描出。5分間で計20回繰り返し、分泌スコアを膵液流入距離に基づいて評価(5点スケール)し、慢性膵炎の重症度分類(ケンブリッジ分類に基づいてステージ1-4)と比較した。【結果】慢性膵炎の重症度分類は、分泌スコアと有意な負の相関を示した(r =-0.698、P <0.001)。ステージ4の分泌スコアは、ステージ1-3より有意に低かった(P <0.001、P = 0.002、P = 0.025)。ステージ4の19人すべては、分泌スコアは0.70未満で膵外分泌機能不全を示した。ステージ1の分泌スコアは、ステージ2および4より有意に高かった(P = 0.019、P <0.001)。ステージ2では、9人中8人(89%)において分泌スコアが0.70未満で膵外分泌機能不全を示した。逆に、ステージ3では、6人中2人(33%)において分泌スコアが0.70以上と正常な膵外分泌機能を示した。【結論】ステージ2-3の慢性膵炎において、本法における膵外分泌機能不全の程度と慢性膵炎の重症度分類は、必ずしも一致しないことに留意すべきである。S39

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