医学会誌42-補遺号
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27基-52: クラミジアトラコマティスの組換え体技術を用いた細胞内寄生性病原体のエフェクター分子スクリーニング 研究代表者:今田 潔(分子生物学) 偏性細胞内寄生性細菌である肺炎クラミジアは、宿主細胞内でのみ生存可能であり、多数のエフェクターを宿主細胞内に分泌していると考えられている。我々は、肺炎クラミジア機能未知遺伝子403個について、クラミジアトラコマティス形質転換技術およびGlycogen synthase kinase(GSK)タグを利用した肺炎クラミジアエフェクター分子の網羅的スクリーニングを行い、エフェクター分子の同定を行うことを目的として研究を行った。GSKはヒト細胞質ゾル内でリン酸化修飾を受けるという特性を持つことから、クラミジア菌体から宿主細胞内に移行してリン酸化されたGSKタグを検出することにより、エフェクター分子を迅速に同定することができる。そこで、GSKタグを付加した肺炎クラミジア機能未知遺伝子385個を導入したクラミジアトラコマティス形質転換体を作製し、発現ライブラリーを構築した。形質転換体をHEp-2細胞に感染させ、細胞溶解液を用いて、ウェスタンブロットによってリン酸化GSKタグを検出した。その結果、これまでに252クローンのうち52クローンにおいてGSKタグのリン酸化が確認され、新規の肺炎クラミジアエフェクター分子を見出すことに成功した。今後すべてのクローンについてスクリーニングを完了させ、見出したエフェクター分子の機能解析を行っていく。27基-45:肺結核を疑われた症例におけるT-SPOT®.TB とQFT®-TB Goldの検討研究代表者:沖本 二郎(総合内科学1)【目的】肺結核を疑われた症例におけるQFT®-TB Gold in Tube とT-SPOT®.TBの有用性を検討する。【対象と方法】肺結核を疑われた(胸部X線写真で肺結核の好発部位に浸潤影や腫瘤影を認めた場合、及び接触者健診)122例を対象に、QFT®-TB Gold in Tube とT-SPOT®.TBを同時に測定し、その陽性率と、陽性例の最終診断名及び結核の既往(治療歴の有無もしくは、過去に画像上陳旧性結核を指摘されたか否か)を検討した。     【結果】 ①QFT®-TB Gold in Tubeの陽性者19例、T-SPOT®.TBの陽性者9例であった。 ②活動性結核感染症4例では、QFT®-TB Gold in Tube陽性4例、T-SPOT®.TB陽性3例であった。 ③ 潜在性結核感染症の2例はQFT®-TB Gold in Tubeが陽性であり、T-SPOT®.TBは1例が陽性1例が陰性であった。 ④ 活動性結核感染症以外(陳旧性肺結核、M avium complex 症、肺炎、肺癌、肺分画症、気管支拡張症)の陽性者は、いずれも結核感染の既往を有していた。【考察と結論】肺結核を疑ってIGRAsを検査した場合QFT®-TB Gold in TubeはT-SPOT®.TBよりも陽性率が高く、QFT®-TB Gold in Tubeが過去の結核感染を反映しやすいためと考えられた。また、潜在性結核感染症診断に、QFT®-TB Gold in TubeとT-SPOT®.TBで差が出るとの問題が提示された。S71

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