医学会誌42-補遺号
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27基-4: GLP-1受容体作動薬長期投与がGLP-1受容体発現に及ぼす影響研究代表者:木村 友彦(糖尿病・代謝・内分泌内科学) 膵β細胞の機能低下に伴う病態進展は、合併症発症抑制の大きな障壁となる。2型糖尿病の自然史として膵β細胞機能低下は必至であり、早期からの厳格な血糖管理がβ細胞機能保護に極めて有用である。インクレチン関連薬はβ細胞保護効果を有している事を我々は報告してきた。また、血糖依存性にインスリン分泌を増幅させるため、理論的に単独使用では低血糖をきたさないことなどから、本邦での抗糖尿病薬のシェア1位である。糖尿病治療薬はインスリンを含めると9種類にのぼり、各薬剤を最適なタイミングで最適な期間投与することが病態進展抑制、また医療経済を考慮した際にも大切である。GLP-1受容体作動薬投与中に当初良好な血糖コントロールが得られていたが途中効果不応となる症例がしばしばみられるが、その分子機構は現段階では不明である。長期投与時のβ細胞GLP-1受容体発現について詳細に検討する。db/dbマウス、db/mマウスともに7週齢から24週齢までの17週間、Dulaglutideを投与し、途中段階(7週齢、16週齢)でのGLP-1受容体発現と比較検討する。摂餌量、体重はdb/db、db/mともに実薬群で有意に低下した。インスリン感受性テストでは16週齢において、実薬群で有意な感受性亢進がみられた。今後、各週齢での膵ラ氏島のGLP-1受容体遺伝子発現量、免疫染色によるGLP-1受容体発現、β細胞比率等について評価する。27挑-1:肥満2型糖尿病の膵β細胞機能低下におけるshort-formレプチン受容体の意義研究代表者:下田 将司(糖尿病・代謝・内分泌内科学)【背景・目的】レプチンシグナル異常により著明なインスリン抵抗性を示すdb/db、ob/obマウスであるが、db/dbマウスでよりβ細胞機能障害は進展しやすい。両マウスを比較し、db/dbマウスのβ細胞機能障害の分子機構を解明する。 【方法】雄性6週齢db/db、ob/obマウスと、対照として正常血糖モデルm/mマウスを用い、膵島切片での組織学的検討、単離した膵島を用いた生理学的検討および遺伝子解析を施行した。【結果】β細胞量・機能は全群同等であった。cDNA microarrayおよびrealtime RT-PCRにより各マウス間で膵島内遺伝子発現を比較したところ、分化、増殖、アポトーシス、線維化抑制関連遺伝子の発現は全群で差はなかったが、db/dbではサイトカイン、線維化促進関連遺伝子の発現が他群に比し増加し、組織学的にも顕著な膵島線維化、マクロファージ浸潤が確認された。 short-form leptin receptor(Ob-Rs)は全マウス膵島に発現し、db/dbの膵島においてもレプチン濃度依存性のサイトカイン遺伝子発現増加を確認した。β細胞のphospho-p38MAPK、-JNK陽性率は、ob/obに比しdb/dbで高かった。 【結論】db/dbマウスのβ細胞機能障害の進展には、Ob-Rsを介したp38MAPK、JNKの活性化による膵島の炎症、線維化が関与することが示唆された。S47

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