医学会誌42-補遺号
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26基-27: DPP4阻害剤の冠動脈粥腫に及ぼす影響:血管内イメージングを用いた前向き検討研究代表者:久米 輝善(循環器内科学) 37症例51病変を対象に、OCTによる観察研究を行った。糖尿病と、非糖尿病における冠動脈プラーク内線維性被膜厚の変化を検討した。9ヶ月間の線維性被膜の変化量として非糖尿病例8.1±43.4μmに対して、糖尿病例は-9.6±33.7μmと両者の間に有意差を認めなかった(p=0.11)。冠動脈プラークの不安定性評価においてOCTによる線維性被膜厚の評価では、糖尿病・非糖尿病症例で有意差がなかったため、次に、これまで病理学的な検討においてプラーク不安定性を示唆すると考えられている新生血管の有無を、OCTを用いて検討した。冠動脈形成術を施行した狭心症150症例を対象にOCTを用いて、ステント留置前のプラーク性状を評価し、プラーク内の新生血管の有無を評価した。150症例の内、不安定狭心症42例、安定狭心症108例を含んでいた。新生血管を認めた頻度は、有意に安定狭心症より不安定狭心症で多かった(91% vs. 43%,p <0.001) 。1断面における最高新生血管数も有意に安定狭心症より不安定狭心症で多かった (2.3±1.5 vs. 0.8±1.2,p <0.001)。しかしながら不安定狭心症群と安定狭心症群との間に、糖尿病の頻度(45% vs. 44%,p=0.859)、HbA1cの値(6.1±0.6 vs. 6.1±0.8,p=0.867)に有意な差を認めず、OCTで観察できる線維性被膜厚や新生血管といったプラークの不安定性評価と糖尿病との関連を評価するには限界があることが判明した。S40川 崎 医 学 会 誌

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