医学会誌42-補遺号
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研究課題: n-3不飽和脂肪酸は第2世代薬剤溶出性ステントの晩期再狭窄を予防できるか? FD-OCTによる検討研究発表者:河合 遥(川崎医科大学3年)【背景】薬剤溶出性ステント(DES)の導入によりDES留置12ヶ月以内のステント内再狭窄は劇的に減少したが、その後の遅発性新生内膜増殖や晩期再狭窄(late catch-up)は未だ大きな問題となっている。エイコサペンタエン酸(EPA)は抗動脈硬化作用を有する薬剤として知られており、DES留置後の新生内膜増殖を予防する効果が期待出来る。血漿EPA濃度と遅発性新生内膜増殖の関係を光干渉断層法(FD-OCT)による3次元容量解析を用いて検討した。【方法】第2世代DESを用いて治療した35病変(35症例)を対象とした。PCI9ヶ月後(9M FU)と18ヶ月後(18M FU)に新生内膜をFD-OCTで観察した。新生内膜面積(neointimal area) を1 mm間隔で解析し、Simpson法により新生内膜量(neointimal volume)を求め、解析長で除したものをneointimal volume index(VI)とした。遅発性新生内膜増殖変化量(delta neointimal VI)はneointimal VI(18M FU)-nointimal VI(9M FU)と定義した。血漿中のEPAとアラキドン酸(AA)をステント留置時と9ヶ月後に計測した。【結果】ステント留置時の血漿EPA濃度は、18ヶ月後のneointimal VIと関連がなかった。9ヶ月後の血漿EPA濃度はdelta neointimal VIと負の相関を認めた(R=0.416、p=0.014)。多変量解析では9ヶ月後の血漿EPA濃度はdelta neointimal VIの独立した予測因子であった。【結論】第2世代DES留置後慢性期の血漿EPA濃度は遅発性新生内膜増殖に影響を与えている可能性が示唆された。S96川 崎 医 学 会 誌

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