医学会誌 第41巻 補遺号
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26基-6:マイナス帯電粒子優位室内環境の生体影響の長期居住モニターによる観察研究代表者:大槻 剛巳(衛生学) 木炭塗料とともに壁面と天井面に電圧を負荷することにより室内環境中のプラス帯電粒子を負荷面に吸着することによりマイナス帯電粒子を継続的に優位にする室内環境について,その生体影響を検討している。現在,3ヶ月の居住による変化を長期モニター被験者で検討中である。被験者は,現在8名。予定では2年間にわたって,本仕様を管理箱によりON/OFFに変更可能であるので,3ヶ月周期でのON/OFFの繰り返し,変更直前の3ヶ月ごとの採血を実施中。NK活性については,計8名で開始からONの3ヶ月あるいはOFF3ヶ月の後のON3ヶ月という本仕様を使用した測定が,ONからOFFが16回,OFFからONが13回実施された。実測NK活性は個々人で異なるので,前の値を1.0とした相対的NK活性変化で検討すると,NK細胞対標的細胞比を10:1と20:1の両方で検討した結果,OFFからONでは,10:1の場合に平均1.44(±0.69)倍(有意差p=.017),20:1で平均1.37(±0.70)倍(p=.031)と有意にNK活性が亢進した。またONからOFFでは10:1の場合に平均0.71(±0.35)倍(p=.013),20:1の場合で平均0.64(±0.25)倍(p<.001)と有意に低下した。加えてサイトカインの測定では上皮成長因子(EGF)がOFFからONで微増ながら有意に変化した。26挑-10:小児FDG-PET/CT検査における被ばく放射線量低減の試み研究代表者:犬伏 正幸(放射線医学(核医学))【目的】目的は小児FDG-PET/CT検査における投与放射能量低減の可能性を導き出すことである.【方法】PET/CT装置はDiscovery STE(GE)を使用した.大きさの異なる2種類の同型のファントム(成人:周囲長85cm,小児:60cm)を使用した.成人ファントム内部には直径10mmの球体(A10)が,小児ファントムの内部には直径10mmおよび7mmの球体(C10,C7)が配置されており、球体とバックグラウンド(BG)の放射能濃度比が4:1になるよう18FDGを封入した.減衰により放射能濃度を変化させ2分間のPETデータ収集を行った.定量指標としてコントラスト,信号雑音比(SNR),BGの変動係数(CV)を算出し,さらに球体の検出能を視覚的に定性評価した。【結果】放射能濃度が3.0MBq/kgの場合,球体A10,C10,C7のコントラストはそれぞれ2.02,2.17,1.51,SNRはそれぞれ8.25,11.38,4.99であった。CVは成人ファントムで11.93,小児ファントムで10.32であった.視覚的な定性評価において,成人の標準投与量(3.7MBq/㎏)におけるA10の検出能を基準とした場合,C10の検出能は放射濃度が半減するまでほぼ同等に保たれていた.【結論】10mmの病変検出を行う場合には,小児の投与放射能量投与量は,成人に比べ体重当たり50%減でも十分に可能であることが示唆された。同様に,7㎜の病変検出を行う場合には,約30%の放射能量低減が可能と考えられた.S71

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