医学会誌 第41巻 補遺号
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26基-55: 瀰漫性冠動脈中等度狭窄病変における病変遠位部プラークおよび血管径と冠血流予備量比(FFR)との関連性の検討研究代表者:根石 陽二背景:冠血流予備量比(FFR: Fractional flow reserve)は冠動脈狭窄の機能的狭窄度の指標として用いられており、FFR:0.75以下が機能的有意狭窄と判断され血行再建の適応とされている。血管内超音波(IVUS)による最小内腔面積(MLA)とFFRの関連性の報告はなされており、MLAが3.0mm2未満で感度:83%, 特異度:92%でFFRが0.75以下と診断可能と報告されている。しかし、瀰漫性に冠動脈中等度狭窄を認める場合には、病変遠位部の狭窄がFFRに影響することが考えられる。目的:瀰漫性冠動脈病変に対し責任病変より遠位部のIVUS所見(血管径・内腔径・プラーク面積率・remodeling indexなど)の機能的有意狭窄であるFFR: 0.75以下との関連性を検討し、それぞれの指標のFFRに与える影響について検討する。対象:冠動脈中等度狭窄病変に対してIVUSおよびFFR測定で機能的および解剖学的狭窄の程度を評価した41症例を対象とした。方法:責任病変の遠位対象血管のプラーク面積率(PB)をIVUSで計測し、症例を遠位対象血管のPBの中央値:40%で2群に分けた。(GroupA: PB 40%以上、Group B: PB 40%未満)FFR:0.75以下の機能的有意狭窄と判断されるIVUSでの病変部のMLAのcutoff値を2群間で比較検討した。結果:すべての症例では、FFR: 0.75以下の有意狭窄病変はMLA:3.0 mm2がcutoff値であった。Group AにおいてFFR: 0.75以下の有意狭窄のIVUSでの病変部のMLAのcutoff値はGroup Bに比し有意に大きかった。(group A: 4.3mm vs. group B: 3.0 mm2)結語:責任病変の遠位対象血管のプラーク面積率は、冠動脈病変の機能的および解剖学的狭窄の関係性に影響を及ぼすことが示唆された。26基-28:光干渉断層ガイドによるステントサイジングの妥当性と短期ならびに長期成績の検討研究代表者:山田 亮太郎(循環器内科学)背景:光干渉断層法(OCT)は冠動脈狭窄の迅速なイメージング及び定量評価を可能とした。IVUSガイド下ステント留置術(PCI)における治療戦略は多数存在するが、PCTガイドPCIの治療戦略は術者の裁量に任されているものがほとんどでコンセンサスが得られていない。目的:OCTガイド下PCIにおけるステントサイジングの妥当性をPCI時の合併症の有無で検討した。方法:OCTガイド下PCIが施行された連続103例の狭心症例を対象とした。心臓カテーテル検査に引き続き、OCTをステント留置後及び9ヶ月後のフォロー時に記録した。OCT画像は画像解析装置により病変性状や病変長、病変部の平均内腔径、最小内腔面積、平均対照血管内腔径•内腔面積、またステント留置後の最小ステント面積を定量評価した。OCTで得られた計測値と選択したステントサイズからS/D 比(ステントサイズ / 平均対照血管内腔径)を算出し、ステント留置後の合併症(冠動脈解離、ステント不完全圧着)の関係とステント拡張性(最小ステント面積/平均対象血管内腔面積)を検討した。結果:ステント不完全圧着はステント遠位部でS/D比が大きいほど有意に頻度が多かった。一方で冠動脈解離の頻度とステント拡張性はS/D比と関連がなかった。結論:OCTガイドによるステントサイジングはステント留置後の急性期合併症に影響を及ぼしていた。S/D比による至適ステントサイジングはOCTガイドPCIのストラテジー確立において有用である。S32川 崎 医 学 会 誌

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