川崎医学会誌39-2
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24基-9:陰性荷電粒子優位空気室の生体影響 -長期モニターの継続-研究代表者:大槻 剛巳(衛生学) 室内環境が、健康に対して不測の悪い作用をする例として、シックハウス症候群や化学物質過敏症が知られている。着目されたのはVOC(揮発性有機化合物)であるが、ホルムアルデヒドなどの法規制が整ってからは、住居環境自体はある程度整備されてきている。住宅メーカーも健康に良い住環境を求める方向を模索し始めた。積水ハウス株式会社は、従来から日本家屋で使用されている木炭塗料と壁面に軽い電圧をかけることによって、壁表面を負に帯電、室内気質の陽性帯電粒子(20nm前後のサイズ)を吸着させ、相対的な陰性帯電粒子が優位な室内気質を構築、その生体影響を検討する研究に着手し、研究代表者は共同研究として、一連の研究に携わってきた。 既に、2.5時間滞在試験ならびに2週間の夜間滞在型試験を実施し、精神-神経-内分泌-免疫ネットワークに関して、検討してきた。有害事象が生じないことを検討するものである。3名で継続中であるがより長期の観察を行うため、継続的に研究を実施する予定となっていた。しかし、一人がMALTリンパ腫発症が生じ、また研究協力者の定年その他によりH24年度は新たな被験者の模索のために、一級建築士などとの会合を勧め、年度末より新たに4名の被験者に対して、本施行の家屋を構築し、H25年度からの検討の準備を進めた。24基-39: ケモカインレセプターに注目したエフェクター/メモリーCTL機能に関する石綿関連分子指標の探索研究代表者:武井 直子(衛生学) 石綿の発癌作用はよく知られているが、癌疾患の抑制に働く抗腫瘍免疫への石綿曝露影響は不明な部分が多い。CTLが腫瘍細胞を効果的に排除するためには、CTLの分化だけでなく適切な遊走が重要である。申請者はこれまでに石綿曝露によるヒトCTL分化抑制を見出したことから(Am J Respir Cell Mol Biol,in press)、本研究ではCTL分化に伴うケモカイン受容体CXCR3の発現増加の有無を調べた。また、石綿曝露によるCTL分化抑制に伴うCXCR3発現への影響を調べた。5 μg/mlの白石綿chrysotile B添加/非添加培地中でヒト末梢血単核球(PBMC)を放射線照射アロPBMCと7日間混合培養し、CTL分化誘導を行った。フローサイトメトリ-解析によって、2例中2例とも、CD8+細胞中において、アロ刺激によるgranzyme B+細胞比率とエフェクター/メモリー (CD45RO+,CD25+)細胞比率の増加に伴い、CXCR3+細胞比率も増加した。一方で、石綿曝露によって、granzyme B+、CD25+、CD45RO+及びCXCR3+細胞比率の増加がいずれも抑制された。分化後のCTLはケモカイン受容体CCR7と細胞表面分子CD45RAの発現様式で3種類のメモリーCTL細胞亜集団に分類される。今後、各細胞亜集団の機能に対する石綿曝露影響について調べる予定である。S59

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