川崎医学会誌39-2
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24基-88: 性差を考慮した各身体計測指標(腹囲、BMI、腹囲身長比)とCT測定内臓脂肪面積との相関性-生活習慣病評価として最も有効な指標とは何か?-研究代表者:佐藤 友美(健康管理学)目的:生活習慣病の評価として最も有用な身体計測指標、さらにインスリン抵抗性、内臓脂肪面積との関連性について検討する。対象および方法:当院の職員定期健康診断で同意を得た128名を対象に検診時の問診、各身体計測指標、血圧、血液検査(空腹時血糖値:IFG、Tcho、TG、HDL、LDL、non-HDL値、TG/HDL比、LDL/HDL比:LH比)、空腹時インスリン値、HOMAβ値、HOMA-R値、内臓脂肪面積との相関性を調査する。以下単位省略。結果:内臓脂肪型肥満と検討項目との正の相関関係は加齢、男性、腹囲、BMI、BMI25以上、腹囲身長比0.5以上、ウエストヒップ比、収縮期血圧、IFG、IFG110以上、TG150以上、HDL40未満、LDL140以上、non-HDL150以上、LH比、インスリン、HOMA-R値、HOMA-R値1.6より高値、負の相関はHDLとなった。因子分析では固有負荷量より女性の因子1は内蔵脂肪型肥満の有無、腹囲90以上又は以下(前後)、BMI25前後、因子2 はLH比1.5前後、LDL140前後など、因子3では腹囲身長比0.5前後、女性ウエストヒップ比0.9前後などの変数が高値を示す。男性の因子1は腹囲身長比0.5、腹囲85、内蔵脂肪型肥満、因子2 はLH比1.5、LDL140、因子3はTG150、男性ウエストヒップ比1.0などの変数が高い負荷量であった。考察:内臓脂肪面積と各身体計測値、血液データは相関性を認め、因子1の変数はメタボリックシンドロームの指標、因子2は脂質異常症による心血管イベント、因子3は上半身・腹部肥満による生活習慣病の指標として妥当であるが、男性は腹囲身長比より有効であると考えられた。24基-93:腹腔内脂肪と消化器がんの予後に関する機構の解析研究代表者:牟田 優(消化器外科学)【背景】脂肪織は重要な内分泌機能とされており、Leptin、TTNF-α、resistin、adiponectin、omentinなどのシグナル伝達因子を産生している。また、脂肪織のマクロファージは様々なサイトカインを分泌することが知られている。一方、手術侵襲を含む大きな侵襲に暴露されることで大量のサイトカインが放出され、(サイトカインストーム)各種サイトカインはNF-κBを介して産生される。このサイトカインストームは癌患者の手術予後を不良にすることも知られている。また肥満患者の癌手術の予後は不良であることが知られている。すなわち、手術により脂肪織のNFκB細胞が活性化し、各種各種サイトカイン、各種シグナル伝達系が活性化して癌の手術予後が不良になることが予想される。【目的】大腸癌・胃癌患者の癌組織NFκB核内移行率と予後との関連を検討する。【対象と方法】2005年から2008年に切除された大腸癌139例、胃癌121例を対象とした。切除標本の癌組織のNFκB免疫組織染色を行い、核内移行率10%以上を陽性と判定した。予後はKaplan-Meier法を用いて算定した。【結果】両疾患ともに病期が進行するとともにNFκB陽性率が有意に高くなり、とくにIII期においてNFκB陽性例(が有意に予後不良である結果であった。【考案】今後は、脂肪織にかかわる各種シグナル伝達系の発現とNFκBとの関係を検討していきたい。S43

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