川崎医学会誌39-2
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24基-79:腎領域における腹部MRIの至適撮像法の検討研究代表者:東 浩樹(放射線医学(画像診断1))【目的】加齢に伴い、腎皮質の厚みは菲薄化することが知られているが、画像評価の報告は未だ少ない現状である。今回、我々空間選択的IR(inversion recovery)pulseを併用した非造影MRIを行い、腎皮髄境界明瞭化させ、腎皮質の厚みの加齢に伴う変化について検討した。【対象】空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIが施行され、腎機能が正常であった患者48症例を対象とした。【方法】空間選択的IR pulseを併用したSSFP法を用いた非造影MRIでTIを700-1500msecの間で100msecずつ変化させ撮像を行った。1.皮質および髄質のsignal intensity(SI)を測定し腎皮質・髄質の信号比(SI cortex/medulla)を算出。その最大値を最適TIとした。2.最適TIにおいて、腎皮質の厚みを測定した。【結果】最適TIと年齢の間にはおいて、有意な負の相関を認めた(r=-0.378;p=0.001)。腎皮質の厚みと年齢(r=0.054;p=0.712)、腎皮質・髄質の信号比と年齢(r=0.187;p=0.20)においては明らかな相関はみられなかった。【考察】正常腎において、本撮像法は加齢の影響を受けることなく腎皮髄境界を明瞭化させ、腎皮質の厚みを測定できると考えられる。24基-77:腎濾過機能とカルシウムチャネル研究代表者:仲本 博(医用工学) 近年、腎不全の治療において、高血圧や糖尿病など生活習慣病との関連から、腎機能保護を企図した投薬治療が発達しつつある。ACE阻害剤やARBなどが良く用いられるが、主要な降圧剤であるカルシウム拮抗薬が関与する、Caイオンについては、まだ良く調べられていない。 本研究の目的は、尿細管糸球体フィードバックを含めた腎微小循環の制御機構を生体においてCaイオンの可視化でそのメカニズムに初めて迫ろうというものである。摘出試料における研究は、報告があるが生体における報告は未だない。腎におけるCaチャンネルとは、L型を意味する。 Caイオン濃度に応じて蛍光を発する事が可能なFluo4を前処置として、自発呼吸麻酔科のウィスターラットに投与しておく。腎微小循環は、テキサスレッドで標識したアルブミンないしは、FITCで標識した分子量500kDaのデキストランを投与することで、可視化する。実験的介入としては、生理的には高濃度の食塩水か強力な血管収縮剤であるフェニレフリンを投与する。薬剤のボーラス投与後、腎微小循環を80秒間観察記録して解析を行った。 フェニレフリンによっては、投与後およそ4、5秒で輸入細動脈でのCaイオン濃度の上昇が認められ、高濃度食塩水の投与後およそ30秒で傍糸球体装置と思われる部位のCaイオン濃度の上昇が認められた。 腎微小循環の制御には、Caイオンの関与が重要であることが示唆された。― 腎臓 ―S35

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